- 今日も「ケンカした!」と帰ってきた…
- 子どもの様子がいつもと違う…
- 聞きたくても何も話してくれない…
小学校低学年の時期は、幼児期にくらべ体も心もすっかり成長したように見えますが、まだ気持ちの整理や伝え方が追い付かず、ちょとした誤解が思わぬトラブルを招くことも日常的にみられます。
そんなトラブルを前に、「え!どうしよう……」「何をしたらいいの?」と親として焦ってしまうことはありませんか?
でも、大丈夫。結論、トラブルは、子どもの心を育てる絶好のチャンスです。
その時の、子どもの気持ちや言葉にしっかり寄り添うことで必ず乗り越えていけます。
児童養護施設や少年院、保育園など様々な現場を経験してきた保育士歴19年×3児ママが、失敗をいっぱいしたからこそ学んだ、「子どもにとって本当に大切な事」を分かりやすく紹介しています。
親が絶対やってはいけないトラブル時のNG対応4つ

子どものトラブルは、成長につながる大切な経験です。しかし、間違った対応は、時に問題をこじらせたり、いつも相手のせいにして終わってしまうなど、子ども自身で解決する力がつかないことも。大人が、よかれと思った行動が、意図せず子どもの成長を妨げてしまう恐れもあります。
1. 子どもの言い分をさえぎり「説教」を始める
子どもが話している最中に、「でもあなたが先に手を出したんでしょ?」「そんなこと言っちゃダメ」と親側の正論で話を止めてしまうのはNGです。
💭 子どもの本音
・「話してる途中に怒られた。もうイヤ…」
・「すぐ、何か起きたら私のせいに。もう、全部どうでもいい。」
- なぜダメ?: 低学年の子はまだ自分の感情を言葉にするのが苦手です。否定から入られると「お母さんは味方じゃない」「言っても無駄」と心を閉ざしてしまします。さらに「子どもの思いを正したい」気持ちが強いほど、子どもが本音(背景にある寂しさやフラストレーション)を隠したり、次はウソでつくろうようになる場合があります。
子どもには、まず自分の気持ちやできごとを素直に吐き出させてあげましょう。
2. 「どっちが悪いの?」と犯人探しをする
「どっちが先にやったの?」「誰が言い出したの?」と、白黒つけようとすることはNGです。ましてや相手が100%悪いと決めつけてしまう場合も危険です。
💭 子どもの本音
・「どうせ私のせいだと思ってる。もういい…」
・「全部あの子が悪い!私が言ったらお父さんお母さんも信じるんだから!」
なぜダメ?: 子どものトラブルは、0対100でどちらか一方が悪いことはほとんどありません。
例えば「Aくんが嫌なことを言った(きっかけ)」⇨それで「Bくんが突き飛ばした(反応)」といったちょっとした連鎖の場合も。犯人探しをすると、子どもは自分を守るために嘘をついたり、相手を責めることに必死になり、肝心の「自分の行動や気持ちの整理」ができなくなります。
また、いつも仲良く遊んでいるからこそ、トラブルが起きる。それくらい深い関係性があるとも言えるのです。
✖「誰が悪いか?」の視点⇨〇「どうしたらうまくいくか?」の視点から子どもと一緒に考えていきましょう。
MIMAポイント!
ここで、私が現場で出会った実際のエピソードを紹介させてください。
ある日、「わたし悪口をいわれた!」と怒っていた子がいました。
ところが話をよくよく聞いていくと――
いつも嫌味や意地悪をしてしまっていたのは、実はその怒っていた子自身だったのです。
さらに、その子に「どうして嫌な言葉を友達に言ったの?」と静かに聞いてみると、こんな答えが返ってきました。
「…(本当は)一緒に遊んでほしかった」
「…(素直に)“いれて”って言えなかった」
――そこには、表面の言動と真逆の本音が隠れていたのです。
子どものトラブルでは、こうした「本音と行動のねじれ」がよくあります。
だからこそ、親が一方的に「相手が悪い」と決めつけず、子ども自身の奥にある本当の気持ちに寄り添うことが大切なのです。
子どもの"困った行動"の奥には、必ず"困っている気持ち"があります。行動だけを見て叱らないでほしい。これが、19年現場にいてきた私からのお願いです。
3. 「ごめんなさい」を無理やり言わせて終わらせる
その場を収めるために「はやく謝りなさい!」と形だけの謝罪を強要することはNGです。
💭 子どもの本音
・「ハイハイ謝ればいいんでしょ、ホントのこと言ったって無駄」
・「こんなにうるさく怒るなら、謝って終わらせてしまおう」
なぜダメ?: 納得感のない「ごめんなさい」は、解決ではなく「強制終了」です。自分の気持ちを置き去りにされた子どもは、相手へのわだかまりを抱えたままで、結局同じトラブルを繰り返してしまいます。
その時の気持ちを言葉にし、振り返りながら「なぜそうなったのか?」を本人が気づいたり理解することが大切です。
発達心理学者セルマンの研究によると、6〜8歳の子どもは「自分と相手の気持ちが違う」とわかり始める時期ですが、まだ同時に両方の視点を持つことは難しい段階(Selman, 1980)です。納得できないまま謝らされると、「謝ること=負け」という感覚が強まってしまうことがあります。
4. すぐに親が相手の親へ「直接」連絡する
子どもの話を聞いてすぐにカッとなり、学校を通さず相手の保護者に抗議の電話やLINEをするのは慎重になるべきです。過剰な介入は、トラブルを悪化させることにもつながります。
なぜダメ?:小学校低学年の子どもの話は、主観的で断片的なことがまだ多いものです。自分の子どもが言っていることが断片的には事実であっても、客観的に正しい視点で判断しているとは限らないのです。「相手が悪い!」と思ったら、よく聞くと「わが子の普段の関わり方」に課題があり、トラブルの原因だった…なんてことも。
親が、わが子の視点だけで判断し、感情的な対応をとることで、”子ども同士は翌日すっかり仲直りしているのに、親同士の関係だけが悪化してしまった…”など、思わぬ事態になりかねません。
まずは学校での様子を担任の先生に確認したり、事実関係を冷静に把握しようとするクッションが必要です。
わが子も相手も、育ちの途中。お互いの失敗が互いを成長させてくれるという視点を忘れないで。
MIMAポイント!
「あなたは、子どもと今日どんな話をしましたか?」
私たち大人がやりがちなこと、それはトラブルが起きた時だけ真剣に話を聴くことです。また、子どもの心を置いてきぼりに解決を急ぎたくなる…。同じトラブルが起きてしまうその背景の1つに、実は私たち大人の関わり方が影響していることがあります。
何度もトラブルが起きるお子さんの話
何度も同じようなトラブルが起きる時、発達上やむなく起きている場合と、子どもが意図的に(または無意識に)「トラブルが起きた」「○○ちゃんが▢▢した」と話すことがあります。その心理の1つに
✅「トラブルが起きると親が自分を見てくれたり、気持ちを向けてくれる」というものです。
いつもは忙しくって、かまってくれない。でも、何か問題が起きれば心配してくれる。
そう感じたお子さんの中には、「自分への愛情が実感できる手立て」(「注目行動」と言われています)として無意識にトラブルを訴えるお子さんがいます。
では、その親御さんの子育てに対する努力が足りないのか?というと、実は全くそんなことはありません。子育て、仕事、家事など何でも一生懸命な親御さんばかり。ですから、もしそのような状況が起きても決して自分を責めないでください。私の実体験では、お子さんの「感度の高さ」がこのような状況を生んでいる面が大きいと感じます。その一方で、このような子どもそれぞれの感覚にしっかり寄り添い、安心してもらえる関わりを心がけることも必要です。
解決のカギは「日常の会話」から
普段から、その日の出来事や思ったことなど、子どもと対話をしましょう。そうすることで、友達との関係性や背景が、よりしっかり見えてくることがあります。日常の何気ない会話の中でこそ、子どもの本当の気持ちや姿が見えてきます。それが、いざトラブルが起きたときの的確なサポートにつながるのです。
私も、普段子どもと遊びながら、子ども同士の関係性・距離感や話し方・感情の出し方・思いを言葉にできるタイプかどうか?、などを捉え、それぞれのお子さんに合った声掛けを意識するようにしています。
🌱 子どものトラブル時の望ましい関わり方4選

NG対応が分かったところで、次に子どもの成長につながる接し方のポイントを見ていきましょう。大切なのは、子どもが安心して話せる環境を用意することです。
1. 話すきっかけを、日常の中に
「どうだった?」と聞かれても、子どもは話しにくいもの。
会話の中にヒントを散りばめることで、気持ちがほぐれやすくなります。
- 「今日のお昼、誰と食べたの?」
- 「最近、誰とよく遊んでる?」
- 「あれ?ちょっと元気ないように見えるけど、大丈夫?」
子どもが普段から「気にかけてもらえている」と感じることが大切です
気持を自然と話せる関係性を日常から作っていきましょう。
2. 否定せず、「気持ち」を受け止める
「そんなの気にしすぎ!」「仲良くしなさい!」と大人の価値観をすぐに返したり押し付けてしまうと、子どもはそれ以上言えなくなります。
- 「そうだったんだね、いやな気持ちだったね」
- 「それは悔しかったよね」
- 「ちゃんと話してくれてありがとう」
話す中で、考えが整理され、自分で気づける力がついてきます。ゆっくりその過程に寄り添いましょう。
気持ちを受け止めた後にぜひ投げかけてほしい一言があります。それは――
「相手はどんな気持ちだったんだろうね?」
この一言で、子どもの視点が一気に広がります。
【相手の立場を考えることで得られる大きなメリット】
・解決の糸口が見つかりやすくなる
・自分以外の見方や、いろいろな視点があることを学べる
・結果として、対人トラブルが減少していく
心理学者ゴットマン博士の研究では、子どもの感情をそのまま受け止める「感情コーチング」を実践する家庭の子どもは、友達関係・学業・健康のすべてで良好な結果が示されています(Gottman & DeClaire, 1997)。「まず気持ちを聞く」の積み重ねが、子どもの人間関係の土台をつくります。
最初は「わかんない」と答えるかもしれません。それでも大丈夫。
大切なのは「相手の気持ちを考える習慣」を日常の会話で少しずつ育てていくことです。
私が現場で見てきた子どもたちの中でも、この問いかけに慣れている子は、トラブルの自己解決力がぐんと育っていきます。
3. 「どうしたらよかったか」を一緒に考える
トラブルへの対応を一緒に考えることで、子どもは「やり直し方」「伝え方」を学びます。
- 「次に同じことがあったら、どうしたい?」
- 「もし相手がこう言ってきたら、何て返す?」
大人が“正解”を出すのではなく、あくまで子どもと一緒に考える姿勢が大切です。
子ども自身の「気づき」は、子どもの心をグッと大きく成長させます。
さらに効果的なのが、抽象的なアドバイスではなく「具体的な行動」を一緒に考えることです。
たとえば
・「“かして”って言っていいよ」
・「“次に貸してね”って伝えようね」
・「“今使ってるから、待ってて”って言ってみたら?」
実際に使える言葉をセットで伝えると、子どもは次に同じような場面に出会ったときに行動しやすくなります。
また、遊びの場でも目に見える工夫を取り入れてみましょう。
・「交代で使おう」のルール
・「順番カード」を作る
・タイマーを使って時間を区切る
低学年の子どもは、「見える化」された方が安心してルールを守れます。
「どう伝えたらいいか」がわかると、子どもはぐっとラクになります。気持ちに言葉という"道具"を渡してあげるイメージです。
4. 学校や学童に「つなぐ」
子どもが一人で抱えているトラブルがあると感じたら、担任の先生や学童の支援員の方などと連携することも大切です。
苦情としてではなく「こんな出来事があったが、他にも気になる様子が無いか教えて欲しい」「こう話し合って伝えたが…一緒に見守って欲しい。」など、協力をお願いするようにします。
親の素直な姿勢は、学校の先生や学童の支援員の方などから、以下の情報を引き出しやすくします。また家庭と学校・学童(放課後児童クラブ)などとの協力関係を築くのに有効です。
・子どものありのままの姿
・友達との関係性
・率直なアドバイスなどです。
子どもにとって「理解してくれる大人がたくさんいる環境」は、「安心して自分らしく生きていくことができる場所の広がり」につながるのです。
関わっているみんなで成長を支え、子どもにとっての「安心の土台」を広げていきましょう。
学童期(小学校低学年)は「人との関係が深まる時期」です

小学校に入ると、子どもたちは家庭や保育園・幼稚園という小さな世界から、より広い「社会」の中へと一歩を踏み出します。学年が上がるにつれて、友達との関係は「一緒に遊ぶ」から、徐々に仲間として関わる「集団の中での自分」を意識する方向へと深まっていきます。
でも低学年の今は、まだ「自分の気持ちが優先されやすい」時期です。
・やりたい!
・いやだ!
・ずるい! など
気持ちがそのまま言葉や行動に出やすく、ぶつかり合いも日常茶飯事です。
個人差はありますが6〜8歳の子どもは、気持ちを言葉にする力も発達途中。モヤモヤを抱え気持ちを引きずってしまったり、うまく話せないのもそのためです。
この時期は、「人間関係の練習中」
うまくいかない経験やトラブルが多いのも、成長の証です。だからこそ、大人がそばに寄り添い、子どもの気持ちを聴きながら、ていねいに関わっていくことが大切な時期でもあるのです。
1〜2年生の発達的ポイント3つ
低学年の時期には、友達とのトラブルが起きやすくなる、発達上の特徴があります。
1. 社会が広がり、関わる人が一気に増える
クラスメート・近所の友達・学童など、保育園や幼稚園の時期にくらべ、関わる子どもの数が格段に増えます。初めて出会う子とも毎日のように関わることで、相性の違いやすれ違いも起きやすくなります。
2. 感情のコントロールはまだ未熟
思ったことをすぐに口に出してしまったり、相手の意図をくみ取ることが難しいのもこの時期の特徴です。「悪気はないのに、言葉がきつくなってしまう」というのも、発達段階としてはごく自然なことです。
3. 自己中心性が残る
発達的にはまだ「自分の視点中心」で物事をとらえる時期です。「相手にも相手の気持ちがある」ということを、頭ではなく体験を通して学んでいる最中なのです。
これは発達心理学では自然な発達の姿です。7歳頃から「具体的操作期(ものごとを論理的に考え、他者の視点を取り入れ始める時期)」に移行し、他者の視点を取り入れる「脱中心化」の力が少しずつ育ち始めるとされており(ピアジェの認知発達理論)、1〜2年生はその入口にいる段階です。
これらの特徴は、友達関係の中で「トラブルの種」になることもありますが、裏を返せば人との関わり方を学ぶ入り口に立っているということ。焦らず、成長を見守っていきましょう。
1〜2年生に起こりやすい友達トラブル3つ
では実際に、低学年の子どもたちにはどんな友達トラブルが多いのでしょうか。保育現場や学童で実際によく見られる3つのパターンを紹介します。
1. おもちゃ や持ち物をめぐるトラブル
「貸したのに返してくれない!」「“かして”って言ってないのに勝手に使った!」など、所有や順番をめぐるトラブルがよく見られます。
背景
・「貸す・借りる」のルールがまだ曖昧な時期
・自分の感情優先で動いてしまう
・夢中になって「借りたこと」自体を忘れてしまう
・「悪気はないけれど…」といったすれ違いが起きやすい
2.ちょっとした言い合い・ケンカ
ちょっとしたすれ違いが原因で、「もう遊ばない!」「○○ちゃんなんかキライ!」といった極端な言葉が飛び出し、感情的なケンカにつながることがあります。
背景
・自分の想いがうまく伝わらない、思うようにならない時に極端な言葉が出やすい
・深刻なケンカというより、一時的な感情の爆発による瞬間的な対立が多い
・表面的な“ことば”や、その時の“気持ち”を引きずり、違うトラブルにつながることも
3. 仲間外れ・すれ違いによる誤解
本人は悪気なく言ったことでも、相手が傷ついてしまったり、「○○ちゃんが遊んでくれなかった」と感じてしまうこともあります。
具体例
Aちゃんと先に遊ぶ約束を交わしていた子が、その後Bちゃんに誘われたとき、「Aちゃんとの約束があるから」と、とっさにBちゃんに「あなたとは遊ばない」と伝えてしまった。
💭 子どもの本音:「仲間に入れてほしかっただけなのに、どう言えばよかったのかわからなかった」
背景
・子ども同士、まだ言葉で気持ちを伝える力が未熟
・自分の気持ちと相手の気持ちを調整する力が育つ途中
・「遊ばない」と言われた側は、その言葉だけを受け取って深く傷つきやすい
どのトラブルも、「発達段階として起こるべくして起きている」ものがほとんどです。「うちの子だけ…」と思わなくて大丈夫ですよ。
《1~2年生》低学年と保育園・幼稚園との違い

親や先生の目が届きにくくなるこの学童期は、子どもだけの世界が急速に広がります。
保育園・幼稚園の生活では、日々たくさんのできごとにぶつかり、気持ちを友達にぶつけ合い、時に心の葛藤を繰り返しています。何か困りがあっても、すぐ近くに先生がかけつけてくれて「誰が何をした」「どう感じたか」をその場で受け止め、何度も何度も「子ども同士をつなぎ直す関わり」を繰り返してきたのです。
しかし、小学生になると…
- 授業中心の生活になり、先生が1人で多くの子を見守らなければならない
- 放課後は学童や友達との遊びなど、保護者の目が届かない時間が増える
- 友達とのやりとりが複雑になり、大人が気づきにくい“心のすれ違い”が起きやすくなる
こうした変化の中で、子ども自身も「困っていること」を気づいてもらえず、心にモヤモヤをため込んでしまうこともあります。そして何かのトラブルがきっかけで、積もった思いが急に爆発する…そんなことも珍しくはないのです。
💭 トラブルが育てるチカラ「心の育ち」

学童期の対人トラブルは、「発達途中だからこそ起きる」
まずはここを忘れないで欲しいのです。
トラブルは大なり小なり誰もが成長過程で経験するもの。トラブルを通して子どもは初めて大切なことを学び、心を育てていけるのです。
トラブルが起きると、つい大人側の視点で
- 問題行動を起こす「困った子」
- 親も頭を抱える「困ったできごと」
- 相性が合わない「困った相手」
といったように、ネガティブに捉えがちかもしれません。
忘れないで欲しいのは、相手の子もまた、わが子と同じように「心と社会性」を育んでいる真っ最中だということです。
では、友達トラブルによってどのような「心の育ち」が生まれるのか?具体的にみていきましょう。
約束を守らない友達にイライラして喧嘩

「公園で待ってたのに来なかった」「約束したのに!」そんな経験をすると、子どもは強い怒りや悲しみを感じます。でもこの感情こそが大切で、「約束って、守らないと相手が傷つくんだ」などということを、頭ではなく心で理解するきっかけになります。
自分が傷ついた経験があるからこそ、相手との信頼をつくることの大切さが少しずつわかるようになります。また、「あの子のせいだ!」と責めたくなった気持ちを振り返り、相手にも事情があったかもしれないという視点も芽生えてきます。
仲間外れ・グループ内での力関係でのトラブル

「一緒に遊べない」と言われたり、グループの中で強い子の言いなりになってしまったり。低学年の子どもにとって、これはとても傷つく経験です。でもこの経験には、大切な意味があります。
「仲間に入れてもらえなかった」という経験をした子は、「自分がされて嫌だったこと」を体で知っています。誰かを仲間外れにすることへの痛みがわかったり、「強い子の言いなりになって、本当はいやだった」という経験を、「自分はどうしたかったのか」「そのためにどうしたらよかったのか?」また「自分はこんなふうになりたくない」と自分なりに気づきが生まれます。
傷ついた経験が「相手の気持ちを想像する力」「自分の気持ちを大切にする力」を育て、今後「どんな自分になりたいか」を考えるきっかけになっていくのです。
集団の中で自分の気持ちも守りながら相手ともうまくやっていくこと。
そのバランス感覚は、「自分がされて嫌だった」経験の中で少しずつ、でも確かに育っていくものです。うまくいかなかった今日でも、いつか「乗り越えられた!」に変わる日が必ず来ます。
自分の気持ちをうまく伝えられない

言いたいことが出てこない、言ったつもりが伝わらない、感情が爆発して泣いたり怒ったりしてしまう。低学年の子どもにはよくあることです。
それもそのはず。気持ちを言葉にするのは、大人が思う以上にむずかしいことです。 「なんかいや」「むかつく」という感情はあるのに、それが「悲しかった」なのか「悔しかった」なのか「怖かった」なのか、自分でもよくわかっていないことがほとんどなのです。
そしてもうひとつ、この時期に子どもが気づき始める大切なことがあります。それは「自分が思っていることと、相手が感じていることは、ちがう」ということ。
- 言わなくてもわかってくれると思ってた
- こう言ったのに、なんで違う受け取り方をするの?
そんなすれ違いを経験しながら、子どもは少しずつ、「自分の思いを伝えなければ、相手には理解してもらえない」という当たり前だけど深い事実に気づいていきます。
子どもがひとりで抱え込まずに、誰かと気持ちを共有できること。その上手くいかない気持ちや葛藤を、信頼できる親や大人と一緒に振り返り受け止めてもらうことで、人とうまくやっていく力が少しずつ育まれていくのです。
🧒 子どもが「困っている」サインとは?

小学生になって、何でも自分から話せる子がいる一方で、「心配かけたくない」という気持ちから本音を言えない子や、状況をうまく言葉で説明できない子もいます。
以下のようなサインが見られたら、心の中で何かが引っかかっているサインかもしれません。
子どもが困っているかもしれないサイン
・ちょっとしたことでイライラしたり、怒る
・兄妹に些細なことで感情をぶつける
・学校や友達の話を急にしなくなる
・「もう○○とは遊ばない!」など、極端な表現が増える
・登校渋りや体調不良(頭痛・腹痛)を訴える
💭 子どもの本音
「なんだか自分でも分からないけれどイライラしちゃう…」
「何もする気が起きない…」
気持ちを直接言葉にできないとき、子どもは安心できる家庭内やトラブルとは関係のない場面で苛立ちをぶつけることがあります。それすらかなわない子の中には、体調の変化という形でSOSを出している場合があります。
MIMAポイント!
学校の先生や学童の支援員の方に相談する?しない?
「わざわざ言わなくていいかな?」「親が介入し過ぎと思われるかな…?」など、そう迷う方は多いと思います。
Q:実際、私たち保育士は相談されることをどう思っているのでしょうか?
A:答えは、即答で「嬉しい!」「ありがたい!」に尽きます。
決して迷惑なことはありません。
お子さんの状況や想いを共有する、そのメリットは……
・家庭と情報共有し、課題を明確化し、子どもを多角的に見られる
・子どもに起きていること、子どもが本当に求めているものが明確になる
・家庭との共同作業がかない、早い解決につながる
・園生活で、関係性へのアプローチができる からです
迷った時は、是非話してみることをおススメします。
その際は「子どものトラブル時の望ましい関わり方」4番目のポイント参考にしてみてくださいね。
お子さんのそばに信頼できる大人が一人でも多くいること——それが、子どもの成長を支える一番の土台になります。
🍀 子どもが“関係の中で育つ”ことを信じて

保育士として長年子どもたちと関わってきた中で、確かに言えることがあります。それは
子どもは「うまくいかない経験の中でこそ、本当に大切なことを学んでいける」ということ。
赤ちゃんの頃は、お母さんやお父さんにすべてを受け入れてもらえました。でも成長した今、毎日転んで、ぶつかって、傷ついて…それでもまた誰かと関わろうと、その子自身の力で向き合っているのです。
そうした日々の積み重ねの中にこそ、子どもの育ちが光ってくるのです。
トラブルが起きたとき、だれもが親として「何とかしてあげなければ」と焦る気持ちになるのは自然なこと。でもどうか、すぐに解決しようと急がないでください。
まずはそっと隣に座って、子どもの話に耳を傾けてみましょう。
子どもが、「自分の気持ちを聞いてくれる人がいる」「信頼できる大人がそばにいる」
それだけで、子どもの心はずいぶんと軽くなります。どんな言葉よりも、その安心感が子どもの支えになるのです。
子ども自身の気づく力、友達と失敗しながら育ち合う力を信じて、一緒に見守っていきましょう。
📚 参考文献
- ピアジェ(Jean Piaget)& インヘルダー(Bärbel Inhelder). 子どもの心理学(The Psychology of the Child). 1969年. Basic Books.
- セルマン(Robert L. Selman). 対人的理解の発達(The Growth of Interpersonal Understanding). 1980年. Academic Press.
- ゴットマン(John M. Gottman)& デクレア(Joan DeClaire). 感情コーチング(Raising an Emotionally Intelligent Child). 1997年. Simon & Schuster.
👉 【学年別トラブルを総まとめで見たい方へ】「小学生」友達トラブル:学年別の原因と発達的理由を解説