ペアレント 学童期

子どもが友達を叩いた…!親の絶対NG対応と子どもの成長につながる関わり方を保育士が解説

2人の小学生が肩を組んで夕日に向かって帰るところ

スマホに学校からの着信。
出てみると、先生から「お子さんがお友達を叩いてしまって……」

その一言を聞いた瞬間、頭が真っ白になって、心臓がドクドク。

「うちの子が、どうして?」
「私の育て方が悪かったの?」
自分を責める気持ちと、怒りたい気持ちがこみ上げてきて——。

そんな経験をされた方、もしかしたら ・・・まさにその渦中にいる方もいるかもしれません。

まず、お伝えしたいことがあります。
あなたは、ダメな親ではありません。

子どもが集団の中で誰かを傷つけてしまうことは、実は珍しいことではなく、どんな子にも起こりうることです。

結論
解決にに必要なのは
、子どもが叩いたことに重点を置くのではなく、子どもと一緒になってどうしたらいいかを考え、気持ちに伴走する「親の姿勢と関わり方」です。
ここを落ち着いて対応できるかどうかで、その後の成長は大きく変わっていきます。

この記事では

保育園から児童養護施設、また少年院まで…保育士として、子どもたちの心と親の思いや苦悩によりそってきた保育士が

  • まず知って欲しい!子どもが叩いてしまう理由
  • トラブル後、親のNG対応と最初にすること
  • 相手への具体的な謝り方と大切な心構え
  • 治療費が必要な時は?

について順番にお話しします。一緒に、一歩ずつ整理していきましょう。

低学年くらいまでは、「イヤだ」「やめて」という気持ちがことばになる前に、手や体に出てしまうことがあります。

これは、カッとなった気持ちにブレーキをかける力実行機能。脳の前頭前野=おでこの奥にある、我慢や判断をつかさどる部分が関わります)が、乳幼児期から思春期にかけて、まだゆっくり育っている途中だからです(※1)。

💭 子どもの本音

「ほんとはイヤだって言いたかっただけ。気づいたら、手が出てた」

つまり、叩いてしまったのは「性格が乱暴だから」ではなく、発達のとちゅうで起きやすい出来事なのです。ここを親が理解しているだけで、これから紹介する対応の一つひとつが、ずっとやさしいものになります。

なぜ謝れない・手が出てしまうのか、その発達のしくみを年齢別にくわしく知りたい方は、こちらもどうぞ。
→ 「ごめんね」が言えないのには理由があった!年齢別の理由と親の関わり方

連絡を受けた直後は、誰だって動揺しますよね…。

だからこそ、まずは深呼吸を一つ。

そのうえで、つい多くの親がやってしまいがちなNG対応から見ていきましょう。

1. 頭ごなしに叱る・問い詰める

「なんでそんなことしたの!」と責めると、子どもは自分を守るために口を閉ざしてしまいます。

また、その場しのぎの言い訳をすることも。

本当の事情が見えなくなり、再発防止につながりません。

2.子どもの言い分を100%うのみにする

逆に「うちの子は悪くない」と決めつけるのも危険です。

子どもは無意識に自分に都合よく話すもの。それが普通です。

鵜呑みも頭ごなしも、どちらも避けたいところです。

3.動揺したまま、すぐ相手の親に連絡する

事実があいまいなまま謝罪や弁明をすると、かえってこじれます。

子どもの「見えている景色」と、先生や相手の子の「見えている景色」は、ズレが起きていることは実は非常に多いものです。

真実を一方向から突き止めようとするより、まずは落ち着いて状況を集める姿勢が大切です。

ステップ1.まずは親が落ち着きましょう

意外に思われるかもしれませんが、最初にすることは、相手への連絡でも、子どもへの注意でもありません。まずは、あなた自身が落ち着くことです。

第一報を聞いて親が最初にすること

  • すぐに結論や謝罪を急がない
  • 深呼吸をして、まず落ち着く

    気持ちが落ち着かない時は?
    「あとで折り返します」と伝え、5分でいいので気持ちを整える時間をつくりましょう

なぜ、これが最初なのか

トラブルでは、相手の子の言い分も、わが子の言い分も、その子にとってはどちらも"正しい"ものです。

親の役割とは

  • 子ども双方の視点と、先生からの視点を総合的・客観的に見る
  • 何が起きたのかを事実ベースで整理していくこと

「相手が悪い」「うちの子が悪い」と誰かを責める気持ちにとらわれていると、解決に必要な客観的な視点までたどり着くことはできません。

さらに、親の感情は子どもの感情に伝わりやすいもの。あなたがピリピリしていれば、子どもも身構えて、本当のことを話せなくなります。だから、まずは深呼吸からしていきましょう。

MIMAポイント!

ときどき見かけて残念に思うのが、何かトラブルがあったときに

・「相手の子が悪い」
・「学校(園)の対応が悪い」など

原因をすぐ外に求めてしまうパターンです。

動揺しているときにそう感じたり、わが子を守りたい思いがあるのは親としてとても自然なこと。決して、あなたを責めたいわけではありません。

ただ、もしそこにだけに視点が向いたままだと
・状況を客観的にとらえ直すことがむずかしくなる
・子どもが学びや成長の機会を失ってしまう
・結果、同じようなトラブルが起こりやすくなる

これは、あなたとお子さんにとって、とてももったいないことだと思うのです。

だからこそ
——誰かを責めるためではなく、同じことで繰り返し悩まずにすむように——
まずは落ち着くことを、いちばん最初にお願いしたいと思います。

ステップ2.「客観的な事実」を集める

トラブルがあったときは、まず客観的な情報をしっかり集めることが大切です。

第一報をくれた先生(学童なら職員)に、できるだけ落ち着いて、次の点を確認していきましょう。

親が集めるべき状況や情報

  • どんな状況で、何が起きたか
  • それぞれの子どもが、どんな行動をとったか
  • 背景として考えられること
  • その後、対応してくれた大人がどう動いたか
  • 現時点での課題は何か

このとき、先生には「教えてくださって、ありがとうございます」と伝えるとよいでしょう。

先生は、言いにくいことをあなたとあなたのお子さんの成長のために、わざわざ知らせてくれた味方となる存在です。

反対に、現場でときどき見受けられるのが、第一報の電話口で「うちの子は悪くないはずです」「先生が見ていないところで何かあったのでは」と、事実を確かめる前に結論を出してしまうケースです。

動揺しているときにそう感じる気持ちは、とてもよくわかります。

事実集めが止まってしまうと、あとで子どもの話と照らし合わせる材料がそろわず、本当のところが見えないまま終わってしまいます。そうなると、同じようなことを繰り返しやすくなってしまうのです。だからこそ、ステップ1の「まず落ち着く」が、ここで効いてきます。

ステップ3.子どもの話をさえぎらず最後まで「肯定的に」聞く

事実を集めたら、次は子ども本人から話を聞きます。ここで大切なのは、聞き方です。

💭 子どもの本音

「悪いのはわかってる。でも、最初に怒鳴られたら、もう何も言えなくなっちゃう」

相手を責めるような態度で話を聞いてしまうと、子どもは身を硬くしたり、心を閉ざしたりしてしまいます。その場をやり過ごすために形だけ謝るなど、本来の自分の内側と素直に向き合えなくなってしまうのです。

保育の現場で実践している私の声掛け(事例)は、以下です。

トラブル時に最初に介入するときの声掛け

  1. 「どうしたの?」と声をかける

    このとき子どもは、「叱られるのかな」「注意されるのかな」「こうしなさいって言われるのかな」と、少し警戒しています。
  2. 次にすぐ「先生は怒っていないよ。ただ、話を聞きたいだけ」とさっぱり伝える

    子どもそれぞれが一生懸命に言葉にして伝えようとしてくれます。

私は、この声掛けをとても大切にしています。

このステップを踏むと、子どもが自分自身の力で、一生懸命に話をしてくれるからです。

お家でも同じことが言えます。
「お母さん(お父さん)は怒ってるんじゃないよ。ただ、あなたの話を聞きたいだけ」
そう先に伝えてあげると、子どもは安心して、本当のことを話しやすくなります。

そして、子どもは「最後まで自分の思いを聞いてもらえた」と感じて初めて

  • 相手はどう思っていたんだろう?
  • お母さん(お父さん)はどうしたらいいと思っているんだろう?など

相手や周りの立場を考えられるようになってきます。

自分の思いを聞いてもらえた子どもは、相手の思いや親の意向に耳を傾けようとする姿勢が芽生えてきます。
この順番が逆だと、子どもは心を閉ざしてしまうのです。

ステップ4.先生とこれからやるべきことを一緒に決める

家庭での話し合いが済んだら、連絡をくれた方(先生)へ直接折り返し連絡をしましょう。

話し合った後に先生に伝えること

  • 家で、子どもとどんな話をしたか
  • 事実確認で合っていたこと、違っていたこと、新たに分かったこと
  • 話し合い後、子どもがどんな思いでいるのか
  • これから、どうしていきたいか(親子で考えたこと)
  • 今後の対応について相談する(解決策)

先生には、話し合った過程含めしっかり情報を共有しましょう。

その後に必要な子ども同士のトラブルへの対応は、大きく次の3つです。

  • 子ども同士で解決 … 小さなすれ違いなら、子どもたち自身が話して仲直りできることもあります
  • 先生の仲立ちで、学校(学童)で話し合う … 行き違いが大きいときは、先生に間に入ってもらい、双方が落ち着いて話せる場をつくってもらいます
  • 親が関わって、親子で謝罪する … 相手にケガをさせたなど、親としての謝罪が必要な場合です

MIMAポイント!

方針を決めるとき、つい親だけで先に決めてしまいがちです。

でも、ひと言「あなたはどうしたい?」と、子どもにも聞いてみてください。

自分で選んだ解決方法は、子どもが“自分ごと”として本気で取り組めます。その小さな経験の積み重ねが、次に同じような場面が来たときの、その子自身の力になっていきます。

親御さんも含めて直接謝罪をすべきかどうかは、学校の先生や関係機関、児童クラブなどに相談して決めるのがいちばんです。一人で抱えて先走らず、現場をいちばん見ている先生たちと一緒に方針を決めましょう。

ステップ5.先生と話し合った解決策を子どもと一緒に実行する

ステップ4で先生と相談できたら、いよいよ実行に移ります。

ここで大切なのは、親が先回りして、すべてを請け負ってしまわないことです。
また、反対に突き放してしまうこともしてはいけません。むしろ不安や反発につながってしまうからです。

特に小学生の低学年頃までは、気持ちにグッとよりそい、一緒に解決するようにしましょう。

この丁寧な親の対応がお手本となり、今後「自分で解決できる力」につながっていきます。

MIMAポイント!

質問Q小学校高学年や、中学生になってもなどなかなか反省までいきません。
    話し合いが進まない場合どうしたらいいのでしょうか?

回答A謝罪や反省に急がなくて大丈夫です。
    まず子どもの気持ちによりそって、話をまるごと聞いていきましょう

すぐに自分の思いと向き合えないのは、その子が悪いからではありません。これまで「自分の気持ちとのつき合い方」を、頼れる大人や身近な人から十分に学べなかった、またはその子の特性的な側面も考えられます。

だから、どう解決すればいいかが分からず

・「全部、相手が悪い」と人を責める(他罰的)
・「全部、自分が悪い」と自分を責める(内罰的)

といった、解決に至らない道に行き着いてしまうことがあります。
でも、大丈夫。何歳であっても、進む方向は同じです。

① 子どもの「今の気持ち」に寄り添う
まずは今この瞬間の気持ちを受けとめます。
そこから少しずつ、「相手はどう思ったのかな?」と一緒に目を向けていく。

②親が 「もう〇歳なんだから…」を一度手放す
年齢で線を引かず、子どもの“今”の状況に合わせて関わります。

③ 必要な段階まで、親も一緒に戻って支える
その子の現状をつかみ、必要あれば親が思い切って戻り支えましょう。
それは決して遅すぎる対応ではなく、むしろ、今後の成長にとっていちばん確実な近道です。

「次はこうしてみようね」「一緒に謝ろうか」など、子ども自身が主体になり“自分のこと”として参加できるようにしましょう。年齢にもよりますが、親がしっかりそばで支えながら「子どもが自分の力でやり遂げる経験」こそが、次への自信と学びになります。

【重要】トラブルがあっても…子どもの自己肯定感を高める方法

謝罪で終わりではなく、このトラブルを通してわが子の心に何を残すか?

ここが、この経験を成長に変えられるかどうかの分かれ目です。

子どもの心に「責任」と「大切にされている感覚」を残そう!

トラブルがあっても子どもの自己肯定感は守っていきたい……

でも、どうしたらマイナスの出来事をプラスに変えていけるのでしょうか?

そのポイントは大人から伝える「振り返り」と「メッセージ」です。

  • 謝罪が済んで落ち着いたタイミングで、できごとを「ふり返る」(情報と感情の整理
  • 子どもの思い「どんな気持ち?」を、トラブル前後の違いとして問いかける(成長の実感
  • 「叩く以外にどうできそう?」と、代わりの方法を再確認する(ソーシャルスキルの獲得
  • 自分の思いと、相手の思いに向き合えたことを認めていく(ありのままを認める
  • 乗り越えたこと、解決できたことを認めていく(自己肯定感
    (上手くいかなくても、出来事に向き合えたことをそのまま認めればいい)

自己肯定感が下がる…絶対NGな言葉がけ


ここで絶対に避けたいのが

  • 「あなたは悪い子」
  • 「乱暴な子ね」という"その子自身"を否定し決めつける言葉です。

このような言葉を受け続けた子どもは、「自分はどうせ悪い子だから」「乱暴だから、手が出ても仕方ない」と、その価値観を自分の人格として受け取り、大人の思いと逆行してしまうのです。

伝えるべきメッセージは「叩くという方法はよくなかった。でも、あなたは大切な存在」という、行動と人格を分けたメッセージです。もし上記の言葉を言い換えるとしたら…

・「あなたはきっと気づける子」
・「“イヤ”って気持ちは大事。伝え方を一緒に探そう」

そう伝え、心を支えてあげましょう。

子どもは、自分の行動が相手にどう響いたかを、責められずに想像できたとき、はじめて内側から「もうしたくない」と思えます。外から押さえつけて言わせた「ごめんなさい」よりも、この内側から育った気持ちのほうが、ずっと強く、次につながります。

つまり、「叩いたこと」は手放さず向き合わせる。でも、「あなたという存在」は丸ごと大切にする。この両立こそが、子どもを本当の意味で育て、再発を防ぐ力になります。

MIMAポイント!

なぜ「あなたは悪い子」と言ってはいけないの?

ステップ5の「行動と人格を分ける」ことには、心理学的な裏づけがあります。

子どもの心に育てたいのは、罪悪感(=「自分のした"こと"がよくなかった」という感覚)です。罪悪感は、謝罪や、相手への埋め合わせといった関係を"修復しよう"とする行動につながります。

一方で、「あなたは悪い子」という言葉が植えつけるのは、(=「自分"自身"がダメだ」という感覚)。恥は、その場から逃げたい・隠したいという防衛的な気持ちや、自尊心の低下に結びつきやすいことがわかっています(※2)。

結果、トラブルから学びを得ることができなくなってしまうのです。

しかし、とっさの出来事に親も気が動転して思いもよらない言葉を書けてしまった…!なんてこともあるでしょう。

そんな時でも、大丈夫。親が落ち着いた後「さっきは、つい××って言ってしまったけれど、ごめんね。本当は○○になって欲しくて焦って言ってしまった。一緒に○○になるように考えていこう」そうやって、素直な気持ちに戻って「本当に伝えたいこと」を大人自身も見つけて伝え直します。

まさにその姿こそが、失敗してもやり直せるんだという、子どもへの「お手本」になっていくことでしょう。

ここまで、主に学校での出来事を前提にお話ししてきました。
「うちは学童だけど、放課後だったら何か違うのかな?」
そう思った方も、いるかもしれませんね。

結論から言うと、基本的な対応方法は、学校のときとほとんど同じです

まず親が落ち着く、客観的な事実を集める、子どもの話を聞く、相談しながら方針を決める——この流れは変わりません。違うのは、相談する窓口が担任の先生ではなく、学童の職員さんになる、というくらいです。まずは学童の職員さんに状況を確認し、必要に応じて学校とも連携する、と覚えておけば大丈夫です。

ひとつだけ、学校と違う点をチラリと添えておきます。

それは治療費(前の章でふれた災害共済給付)の扱いです。災害共済給付は、学校の先生などが監督指導する形の学童であれば対象になりうる一方、市町村などが学校と関わりなく専任の指導員を置いて運営する学童では、学校の災害共済給付の対象外になることが多いことです(※4)。

通っている学童で、ケガや事故のときの補償(保険)がどうなっているのか?
事前に確認しておくと安心です。

「カッとした気持ちにブレーキをかける力(実行機能・自己制御)」は、生まれつき備わっているものではありません。

大人との関わりや日々の経験を通して、少しずつ育っていくものです(※5)。今回の出来事も、その力を育てる一つのきっかけに変えていけます。

年齢に応じた具体的な関わり方はいろいろありますが、まずは、どの年代にも共通する「土台」を押さえておきましょう。

自分を抑える力(自己抑制)が育つ関わり方

  • 安心できて、安定して頼れる関係をつくる(これがいちばんの土台)
  • 生活のリズムや見通し(ルーティン)を整える
  • 大人がまず手本を見せる(カッとしたときに、自分が落ち着いている姿を見せる)
  • 気持ちに名前をつけて返す(「くやしかったんだね」「イヤだったんだね」と言葉にしてあげる)
  • 年齢が上がるほど、自分で決める機会を少しずつ渡していく

少し補足すると——「自分を抑える力」は、叱って身につけさせるものではなく、安心できる関係の中で、自分の思いが受け止めてもらえることで、ゆっくり育っていくものです。

逆に、強く叱りつけたり、敵意のこもった関わりが続いたりすると、この力の育ちはかえって妨げられてしまうことがわかっています。

だからこそ、責めるよりも「一緒に育てる」関わりが大切なのです。

また、大人が自分の気持ちを落ち着いて扱う姿は、そのまま子どものお手本になります

「くやしかったね」「びっくりしたね」と気持ちに名前をつけてあげることも、子どもが自分の感情に気づき、爆発させずに言葉にしていく練習になります

そして成長に合わせて、「自分で決める場面」を少しずつ手渡していくことが、この力を確かなものにしていきます。

みま
みま

「叩く以外の方法」も、こうした日々の積み重ねの中で、少しずつ子どもの中に育っていきます。

子どもの友達トラブル時によくある質問:FAQ

何かトラブルがあった時に、すぐにお菓子を持って謝罪へいく必要はありません。

まずは、子どもや親が今回の出来事について一生懸命考えていること
そして謝罪したいという気持ちを、誠実に伝えることが一番です。

そのうえで、(考え方は人によって違いますので一つの目安として参考にしてください)
菓子折りなどが必要になる場面があるとすれば、たとえば次のようなケースです。

  • 通院を伴うような怪我をさせてしまった場合
  • 相手のお子さんの生活に影響が出るような状況の場合
  • 複数回の通院などで、親が継続的に対応する必要がある場合

こうした場面では、謝罪の言葉だけでなく、気持ちを形で表すという意味で、菓子折りなども必要かもしれません。

ただ、何かを準備する時間をかけるよりも、まずは子どもとしっかり向き合い、現状を確認しながら、早期解決に向けて動くことのほうが、ずっと重要です。

私は安易に手紙という形を取らないほうがいいと思っています。

保育園などでは、お迎え時間が違うために手紙に頼ることが無くはないのですが。
その際は渡しっぱなしではなく、互いの感情を橋渡しする丁寧な先生の仲立ちが不可欠です。

理由は、手紙に書かれた言葉が「事実」や「記録」として「記憶」として固定化されてしまうこと。
特に子ども同士の場合、その瞬間はひどく言い合いしていても、次の日には忘れて元通り…なんてことも多いのが実際のところなのです。

せっかく謝罪で気持ちがお互いスッキリしたのに、その手紙が残っていることで、あの時の記憶と気持ちが強く戻ってきてしまう…。関係も、ぎこちなくなってしまって…。それはだけは避けたいと思います。

ですから、できれば直接、対面で言葉にして謝罪すること。
親御さんの気持ちを込めて、丁寧に直接伝えていくことを大切にしてください。

学校の管理下で起きたケガであれば、日本スポーツ振興センター(JSC)の災害共済給付という公的な制度によって、ケガをしたお子さん側に医療費などが給付される場合が多いとされています(※3)。

ただし、加害行為による損害賠償と災害共済給付を二重に受け取ることはできず、調整が必要になる場合があります。

加害側の備えとしては、日常生活で人にケガをさせたり物を壊したりしたときに使える個人賠償責任保険があります。自動車保険や火災保険などの特約として付いていることも多いので、ご家庭の保険を一度確認しておきましょう。

ここで、ひとつ大切な注意点があります。個人賠償責任保険は「偶然の事故(過失)」を対象とする保険なので、わざと(故意に)相手を傷つけた場合は、原則として対象外です。

子ども同士のケンカや故意の暴力は、「ぶつかれば相手が痛い思いをすると予想できる行為」として故意とみなされ、保険金が支払われないことが多いとされています(※6)。

「保険があるから大丈夫」と安心しきらないことが大切です。

ただし、ここにも子どもならではの例外があります。自分の行為がどんな結果を生むかを、まだ理解できない年齢の幼い子どもの場合は、その子に責任能力がないと判断され、「故意の暴力」には当たらないとされることがあります。その場合は、親(監督義務者)の賠償責任として補償の対象になるケースもあります(※7)。

いずれにせよ、同じ「個人賠償責任保険」でも、保険会社や契約内容によって扱いは変わります。実際にどうなるかは、加入している保険会社や約款で必ず確認してみてください。

わが子が誰かを傷つけてしまったと知った時

親にとっては、子どもが傷つけられた時と変わらない…特有のつらさがあります。

「自分の育て方のせいだ」と感じてしまうのも、それだけ真剣に向き合っている証拠です。

でも、思い出してください。子どもが手を出してしまうのは、ブレーキの力や、気持ちを言葉にする力が、まだ育っている途中だから。

そして、まず自分が落ち着いて、相手の心とわが子の心の両方に配慮しながら向き合おうとしている今のあなたの姿は、子どもにとって何よりのお手本になっています。

完璧な対応でなくても大丈夫。落ち着いて、ひとつずつ。あなたとお子さんが、この経験を「次につながる学び」に変えていけると信じています。

📚 参考文献