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学童期

【学童期】友達トラブルは成長のチャンス!謝罪から関係修復まで“学び”に変える親子実践法(学年別例あり)

4人の小学生が手をとり合う姿

はじめに — 「謝る」をどう教えるかは、子どもの成長に直結します

学校でのトラブルは、どの子にも起こりうる日常の一部です。
大切なのは、トラブルそのものではなく
「その後、どう向き合うか」にあります。

親の関わりで大切なのは、
・誰か一方に責任を押し付けないこと
・事実と感情の両方に目を向けること
・関係の回復を見据えること
この3点です。

こうした関わりは、子どもの自己理解や他者理解、
そして対人スキルの発達に直結します。

この記事では

・トラブル直後の対応ポイント
・謝罪が必要かどうかの判断基準
・学年別「トラブルを学びに変える」具体的な関わり方
・謝罪後の子どもへのフォロー方法

幅広い年齢の子どもたちを現場で見てきた保育士の経験をもとに、協力的な関係づくりの視点から丁寧に解説します。

トラブル直後に「親がすべき3つ」(優先順位)

  1. 子どもの気持ちを聴き、受け止める
    トラブル直後の子どもは、立場や経緯がはっきりしない場合も多く、誰かが一方的に悪いとは限りません。その中で共通して言えるのは、多かれ少なかれ“つらい”気持ちやモヤモヤを抱えているということです。泣く、怒る、黙り込むなど表現は違っても、心の奥には「わかってほしい」という思いがあります。
    まずは誰が悪いかより先に、子どもの「つらさ」や「モヤモヤ」を受け止めます。「どう感じた?」「そのとき何が一番嫌だった?」と感情に寄り添いましょう。事実確認はその後で十分です。受け止められた安心感が、次の整理へつながります。
  2. 事実と感情を分けて整理する
    出来事の経緯「何があったか(事実)」と、その時の気持ち「どう感じたか(感情)」を整理して話すと、子どもは自分の行動や状況を客観的に見られるようになります。
  3. 学校や相手に連絡するかを判断する
    一時的な口げんかなら、子どもが自分で解決できるよう見守ることも大切です。ただし、けがを伴う場合、長引く嫌がらせ、危険を感じるケース、または状況が把握できない場合は、迷わず学校や学童に相談しましょう。
    「責任追及」ではなく「情報共有」の姿勢で相談することで、協力的な関係を築きやすくなります。

「親か子ども、どちらが謝る?」判断の目安

親が相手や学校に謝るべきか迷ったときは、以下を参考にしましょう。

  • 子どもが十分に意思表示できない場合
    年齢が低い、ショックで話せない場合などは、親が同席または代理で対応します。幼児期もここに含まれます。
  • 見守りのある場での事故やけがが起きた場合
    学校行事や学童でのできごとなど、大人の見守りがあっても、すべての瞬間を把握することは難しいものです。まずは学校や学童と状況を確認・共有し、必要に応じて保護者が謝罪します。
  • 子どもが自分の非を認め、言葉で伝えられる場合
    本人が直接謝ることが最も学びになります。親はその練習やサポートに回りましょう。
  • 相手が大きく傷ついたり、問題が長期化している場合
    親同士が連絡を取り合い、子どもの気持ちを支え合いながら解決を目指します。顔見知りでない場合や直接連絡が難しい場合は、学校を通じて進めるのも有効です。

謝罪の要点(協力関係を前提に)

子ども同士のトラブルは経緯が複雑なことも多く、誰かが一方的に悪いと決められない場合があります。

「経緯が複雑」とは?
具体例はコチラの記事
👉【学童期】小学1~2年生に多い友達トラブルとは?発達に合わせたサポート方法の「子どものトラブル!大人にできるサポート法」にて解説しています。

それでも、相手の子どもや保護者が感じた不安や不快感に対して、「配慮の気持ちを”言葉と行動で示す”」ことが関係修復の第一歩となります。

基本の流れ

  1. まず事実を整理する
    推測や感情を交えず、見聞きした範囲で事実を伝える。
    ⇨「〇〇の場面で××がありました」のように事実だけを伝えます。
  2. 相手の感情への配慮を示す
    「驚かせてしまったかもしれません」「心配な思いをさせてしまったと思います」など、相手の感じ方を尊重する言葉を添えます。
  3. 今後の対応・再発防止を共有する
    「今日はお互いの気持ちを聞く時間をとります」「次はこういう約束をして見守ります」など、具体的な再発防止策を共有します。
  4. 感謝の言葉でしめる
    「お話しくださってありがとうございます」「ご理解に感謝します」など、対話そのものへの感謝を伝えます。

信頼を生む「謝罪の言葉」や「伝え方」

① 保護者 → 相手保護者 配慮した伝え方

子ども同士のトラブル時に、相手家庭への対応

  • 口頭(挨拶)
    「今日は、うちの子のことでご心配をおかけしているかもしれません。〇〇の場面で××がありました。お互いの気持ちを聞き合いながら、今後はこういうルールを作っていこうと思っています。」話した後に、「ご理解いただきありがとうございます。」と感謝で締める。
  • 文面(LINE・連絡帳など)
    「今日は息子(娘)の〜な行動でご迷惑をおかけして申し訳ありません。家庭で話をし、今後は○○するよう伝えています。まずはお詫び申し上げます。」
  • 面談や電話(場を設ける・訪問)
    「直接お話しする機会をいただきありがとうございます。今回、うちの子が〜という行為をしてしまい、大変申し訳ありません。家庭内でも事実と気持ちを整理し、○○という対応を取ろうと思います。相手のお子さんの気持ちを傷つけたこと、心よりお詫びします。」

② 保護者 → 学校 協力的な進め方

学校から報告を受けた後や、学校と協力的に進めていく方法

協力型(学校と対応を相談する場合)
「今回の件について詳細にお知らせくださりありがとうございます。家庭でも本人と話し合い、○○という対応を取っております。今後の関わり方について、先生のお考えも伺えますと助かります。」

口頭(お迎え時や電話)
「本日は、ご連絡くださりありがとうございます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。家庭でも事実を確認し、今後は○○していきます。」

文面(メールや連絡帳)
 「本日の放課後、遊びの中で〇〇があったと伺いました。予期せぬ出来事でご心配をおかけし申し訳ありません。家庭でも話し合い、〇〇を確認しました。引き続き見守ってまいります。」

謝罪での「望ましい対応」と「NG対応」

望ましい対応

現在の相手の気持ちやケガの状況などを確認する
謝罪時は、改めて相手側のケガの状況や気持ちに配慮した言葉をかけていきましょう。

話し合った内容を簡潔に伝える
ここに来るまでに、子どもと話し合った内容を伝えていくことで、更に誠意が伝わります。

自分側にできることを気持ちを込めて話す
言い訳や責任転嫁をせず、子どもの気づきや親側の気づきを伝えることで、真剣さが伝わります。

今後の関係を子どもに期待しましょう
今回はうまくいかなくとも、学んだことを活かして今後より良い対人関係が築けることを期待しましょう。

NG対応

子どもが「怒り」や「納得できない」まま、謝らせる
子どもの誤りをすべて親が肩代わりし、片づけてしまう
こうした対応は、学びの機会を奪い、子どもの振り返りができないため、同じトラブルを繰り返す原因になりかねません。また、何が「悪いこと」で何が「良いこと」なのかを判断する力も育ちにくくなる恐れがあります。

相手を非難する言葉を相手の前で言う
関係修復が遠のいたり、関係悪化を招くことがあります。

SNSで経緯を公開・拡散する
個人攻撃や個人情報問題に発展し、法的に問題になるケースもあります。

「いけない子」と決めつける
子どもが前向きに変わろうとする意欲をそぎ、成長する機会を逃してしまいます。一時的な失敗体験(トラブル)は、学びにや成長に必要なことだと認識しましょう。

【学年別】トラブルを”学び”に変える「かかわり方」

学年や発達段階で支援の重点は変わります。1~2年生の頃は親の伴走、3~4年生の頃は気持ちを言葉をつなぐ練習、5~6年生の頃は自己表現(自分がどうしたかったか?どう行動したのか?)と責任の自覚を促すことが重要です。

1〜2年生:気持ちを言葉にする練習をする

ポイント:自分が悪かったと感じていても、その理由や相手への気持ちをうまく言葉にするのはまだ難しい年齢です。親は、その時の状況や子どもの気持ちの整理を助けましょう。子どもは、気持ちが整理されていく経験を通し、落ち着いて”自分の行動”や”いけなかったこと”を振り返り、”謝罪の気持ち”を親の適切なモデリングを通して表現できるようになります。謝罪がゴールではなく、「これからどうしたらうまくいくか?」を一緒に考えましょう。


トラブルへの向き合い方

・親は、子どもの話から「状況」や「気持ち」を受け止め、親が整理し直し、子どもに返していく。
・親がモデル(模範)となり、表現方法や適切な言葉を学べるようにする。
・子どもは「~してしまい、ごめんなさい」と自分の行動に対して簡単な説明を添え、言葉で表現できるようにする。
・ロールプレイ(実際の場面を想定し、役割を演じること)で練習し、体験を積む。
・これから同じような場面で、どうしたらいいかを一緒に考え、対処法を知る。

3〜4年生:「理由」と「気持ち」を言葉にする

ポイント:子どもが自分の行動を振り返ることで、自分で「良い」「悪い」に気づける時期です。自分の行動(きっかけ、理由、表現)と、その時の気持ちを一緒に整理していきましょう。また、相手の思いを想像する力を育てることで、対人スキルや自己処理能力が高まりやすい時期でもあります。


トラブルへの向き合い方

・子どもが話す「状況」や「気持ち」を受け止め、自分で話せることを十分認めていく。
・親が質問していく中で、「状況」や「気持ち」を再確認し、自分なりに整理していけるようにする。また、現在の気持ちの変化も聞き、自分を振り返る力をつける。
・相手側の行動や気持ちを一緒に想像し、他者の思いに気づけるようにしていく。
・子どもが自分で説明を添えて謝罪できるようにする。
・これから同じような場面で、どうしたらいいかを確認する。
・親は、子どもに足りない視点や考え方を”アドバイスとして”伝えていく。

5〜6年生:自分の言葉で説明し、関係修復まで考える

ポイント:この時期は、自分の立場だけでなく相手の立場など様々な角度から考える力が育ちます。一方で、他者との比較や嫉妬、仲間内でのポジション意識も強まるため、トラブルの原因が単なる出来事ではなく、感情や関係性のもつれにある場合も少なくありません。
謝罪が「とりあえず形だけ」にならないよう、事実・感情・解決策を自分の言葉で整理し、子ども自身が相手の信頼を回復しようとする姿勢が大切です。

トラブルへの向き合い方

・子どもと一緒にトラブルの経緯を時系列で整理し、その時の感情の変化や理由を具体的に話してもらう。
・相手の立場や気持ちを想像し、「もし自分がその立場だったらどう感じるか」を考える時間をとる。
・嫉妬や比較意識などが背景にある場合は、その感情を否定せず受け止め、「行動を変える選択肢」を一緒に考える。
・謝罪の言葉にとどまらず、これから相手とどう関わっていきたいかを具体的に話し合う。
・解決や改善の方法を、相手に伝わる形(手紙を書く・直接伝える・一緒に活動するなど)で実行する。
・親は「謝ったから終わり」ではなく、その後の関係性の変化や相手の反応を一緒に確認し、子どもが自分の力で乗り越えようとする過程を認めていく。

参考リンク👉学年別の詳しい「トラブル事例とサポート法」はこちら。
・1〜2年生の記事
小学1~2年生に多い友達トラブルとは?発達に合わせたサポート方法
・3〜4年生の記事
小学3~4年生に多い友達トラブルとは?発達に合わせたサポート方法
・5〜6年生の記事
小学5~6年生に多い友達トラブルとは?発達に合わせたサポート方法

MIMAポイント!
学年別に詳しく解説していきましたが、もし子どもとの話し合いがうまく進まない時は、学年を一段下げた支援に戻るのも有効です。自分の体験を言葉にしていくことは大人が思うより難しいものです。子どもの発達や状況に合わせて柔軟に援助していきましょう。

トラブル時は大人側も混乱したり、怒りが沸くこともあるでしょう。また場面によって、子どもの過失を注意したり、叱ることも必要です。しかし、その後の話し合いではしっかり落ち着き、解決するための方法を子どもと考えられる伴走者になりましょう。子どもの成長には、安心して気持ちを話せる存在が何より大切なのです。

解決が難しい時は、第3者に相談しましょう

子どもと話し合っても、状況がはっきりしなかったり、疑問が残ったり、会話が進まないこともあります。そんなときは、無理に親子だけで解決しようとせず、学校の先生やスクールカウンセラーなど、信頼できる第三者に相談してみましょう。違う視点や専門的な関わりが加わることで、見えていなかった事実や感情に気づけることがあります。

子どもが「ここなら安心できる」と心を開くことが、次への「成長」と「学び」につながります。
周りの力をかりながら、一緒に”成長できる環境”を整えていきましょう。

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    保育士 MIMA

    大学で福祉全般を学び、児童指導員や保育士歴18年目、3児の母。 学生時代からキャンプの運営やグループワークを実践し、ボランティア活動では、障害のある方や少年院で生活する子どもたちなど、大人から子どもまで幅広い人たちと交流。失敗を重ねながらも『一人ひとりが輝くために大切なこと』を学び、実践。”ベテラン風新人”をコンセプトに、学ぶ姿勢を持ち続けたい!と、現在も保育園保育士として子どもたちに向き合い続けています。