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赤ちゃん

【赤ちゃんの眠り】レム睡眠ってなに?“浅い眠り”に隠された成長のチカラ

2025年7月9日

赤ちゃんが寝てもすぐ起きるのには
浅い眠り「レム睡眠」が関係しています。


けれど、そこには驚くべき成長の力
脳・神経・感覚の育ち」が隠されていました。


「寝ない=ダメ」ではなく、「寝ない=育っている」をキーワードに、
安心して赤ちゃんと向き合うヒントを見つけてもらえたら嬉しいです。

この記事では

・「赤ちゃんがすぐ起きる」本当の理由
・浅い眠り「レム睡眠」が発達にどう影響するのか
・寝かしつけがうまくいかないときの向き合い方
・ちょっと助かる!眠りのサポートグッズ
を、発達の視点を交え、保育士がやさしく解説します。

「赤ちゃんが寝ない」のは、悪いこと?

結論から言えば、悪いことではありません
目を覚ましやすい浅い眠りの中で、脳や感覚が順調に育っているからです。

「すぐ起きてしまって、寝不足でつらい…」
「夜中に何度も授乳が必要で、自分も眠れない」

これらは、多くのママが経験する共通の課題です。
「寝かしつけが下手」と思いがちですが、赤ちゃんの「レム睡眠」の多さと、その理由を知れば、自分を責める必要はないことに気づけます。

むしろ、赤ちゃんが発達のプロセスを順調に進めているサインという研究が増えています。

「レム睡眠」が赤ちゃんの発達を促すことを証明した研究

➡️日本心理学会の縦断研究(成瀬茉里香ほか, 2019)
感覚に敏感な赤ちゃんほど浅く眠る傾向がみられました。

➡️BMJ誌(デフルート ほか, 2024)
乳児期前半にレム睡眠が多く占めており、脳の成長や神経発達との関連が示唆されています。
さらに2024年のレビューでは胎児期から乳児期にかけてのレム睡眠が、神経回路の構築や脳の構造的成熟に重要な役割を担っているという科学的根拠がまとめられています。

➡️マウス実験(東京大学 林悠)
レム睡眠の変動によって発達に変化が生じることが確認されました。
乳幼児期の睡眠習慣と認知・社会発達の関連を示すヒト研究も登場しています。

📖出典
・成瀬茉里香・井上雅彦・伊藤崇之(2019)
乳児期の睡眠・覚醒リズムと感覚運動機能の関連
J-STAGE 日本心理学会論文
・エレン・R・デ・グルートほか(2024)
出征前後の脳の発達を促す睡眠
『Pediatric Research』、Nature Publishing Group
・林悠(2023)
乳幼児期の睡眠の制御機構と脳発達における役割の解明
JST:科学技術振興機構

赤ちゃんは「レム睡眠」が多い

【レム睡眠(REM睡眠)とは】
睡眠中に急速眼球運動(Rapid Eye Movement)が見られる状態のことで
夢を見やすく、脳が活動している浅い眠りのことをいいます。

赤ちゃんがすぐに目を覚ましやすいのは、「レム睡眠」の割合が大人より多く、そのような眠りの浅い時間が多いことで、目覚めやすい特徴につながっているからです。

年齢睡眠サイクル(平均)レム睡眠の割合(全体の中)
新生児約40〜60分(※1)約50%以上(※2)
成人約90分約20〜25%

大人よりずっと短く浅いサイクルを繰り返す(※1)ため、「やっと寝たと思ったらすぐ起きた!」という現象が頻繁に起こるのです。

「レム睡眠」その役割


赤ちゃんが「レム睡眠」のときは、脳の中で大切な成長が進んでいる時間です。

このことは「オントジェニック仮説」(※3)という考え方でも説明されていて、簡単に言うと、
「赤ちゃんの成長や発達は、睡眠の中で行われる大切な活動によって支えられている」
という意味です。

具体的には、レム睡眠中に、

脳の神経どうしをつなげ、しっかり働くよう強化している

目で見たことや覚えたことを整理している

心や体のバランス(自律神経)を調節する神経の働きを整えている

乳児期のレム睡眠が、脳の発達に大切な時間であることをは、その後の多くの研究でも支持されています(※4)。

生まれたばかりの赤ちゃんは、見る・聞く・感じるといった刺激を大量に受け取っています。
レム睡眠中にその情報を整理・記憶することで、脳の土台作りが進んでいくのです。
この“仕分け作業”が活発なほど、眠りが浅く短く感じられるのも納得できますね。

「寝かしつけがうまくいかないとき」4つの心構え~保育士の視点から~

赤ちゃんにとって「レム睡眠」が脳の発達のために必ため要不可欠であることを知ると
「赤ちゃんの睡眠を整えなければ…」と~一生懸命になりすぎることはないですね。
ここで、赤ちゃんの睡眠への心構えとポイントをあらためて考えてみました。

1️⃣「寝ないのは、あたりまえ」と思おう

「赤ちゃんは寝るもの」という意識から、新生児期~3ヶ月ごろは特に「浅い眠りを繰り返し、起きることが多くて当然」と気持ちを切り替えましょう。その気持ちの余裕が赤ちゃんに伝わり、赤ちゃんにとっての安心感が、眠りのリズムづくりの土台になるでしょう。

2️⃣起きてもすぐに起こさず、「少し見守って」赤ちゃん自身の力をみてみましょう

【生まれたばかりの新生児期】
おしっこの不快や空腹感からミルクが頻回に必要で起きることも多く、その時々の欲求を叶えていくことが大切です。

【少し大きくなってきたら】
起きたときに自分の手足を動かしたり、指を吸ったりして、泣きながらも自分の力で機嫌を取り戻そうとする場面が出てきます。ほんの少しでもいいので、見守ってみましょう。それで泣きやまなかった場合は、ゆっくり近づいて「どうしたの?おしっこ出ちゃった?おなかすいたかな?」とゆったり話しかけながらスキンシップをとり、気持ちを受け止めていきましょう。

3️⃣環境を整え、外気にも少しずつふれていきましょう


赤ちゃんは、自力での体温調整が未熟とも言われています。

【最適な温度】は、夏場は25~28℃、冬場は20~25℃程度です。
蒸し暑さや、寒さなども機嫌が悪くなるきっかけになるため、意識できるといいでしょう。
新生児の頃はお散歩も難しいかもしれません。気候がいい時に窓を開け心地よい外気にふれていく機会をつくっていきましょう。昼間の光や外気に触れることで、昼夜の差を感じやすく、睡眠リズムも整いやすくなるでしょう。

4️⃣他の赤ちゃんと比べないで!「あせらずゆっくり」構えよう


赤ちゃんには、それぞれの感覚、感性があり、その反応も様々です。
「あの赤ちゃんはよく寝ているのに…」など、気にし過ぎることはありません。「あなたは、私が好きですぐ起きてしまうのね!」など気持ちを前向きに、今の赤ちゃんのリズムを大切にしていきましょう。

MIMAポイント!
赤ちゃんは短く浅い睡眠「レム睡眠」で「眠る練習」をしている最中です。
大人がリラックスして向き合うことが、一番の安定剤になります。

【実は…わが家の長男が赤ちゃんだった頃】
”なかなか寝ない赤ちゃん”で、ホント寝かしつけに苦労しました。今でこそ大きくなった長男。「あなたは、赤ちゃんの頃ほんとに、なかなか寝ない子だったんだから!」と、誰よりも早く布団に入って、一瞬で寝てしまう彼に、笑って話ができるようになりました。

また、睡眠の整え方について
シリーズ【赤ちゃんの眠り:月齢別】で、詳しく説明しています。
👉【赤ちゃんの眠り:新生児編】“寝ない”理由は脳にあった~睡眠を整える3つのヒント~
👉【赤ちゃんの眠り:2〜4ヶ月編】「寝たと思ったのに…」眠りが整わないのはなぜ?~睡眠を整える4つのヒント~

「眠りの環境づくり」を支えるアイテム

そうはいっても、「なかなか寝ない…」と困っている人もいるかと思います。
そんな時に、ちょっと助かる!【サポートグッズ】を紹介します。

  • ホワイトノイズ
    胎動に近い音で安心感があり、眠りに自然と誘います。
  • スワドル(おくるみ)
    モロー反射で起きてしまうのを、優しく包み安全な範囲で動きを制限することで、自分の動きにびっくりして起きることを減らす。
    体が包まれる安心感で眠りに誘いやすく、また布団をはいで体が冷えるのを防ぎます。
  • おやすみプロジェクター
    光と音の演出で自然な眠りへ。毎日のルーティンに。ホワイトノイズ付きもあります。

    もっと詳しく
    関連記事でMIMA厳選のサポートグッズを紹介をしています。
    👉【厳選】赤ちゃんが寝ないときに“ちょっと助かる”サポートグッズ3選|本当に大切なこと

まとめ:浅い眠りも赤ちゃんの大切な成長の一部

赤ちゃんが何度も目を覚ますのは
「眠りが浅いなかで、脳や心が一生けんめい育っている証」です。


眠れない夜が続くと
お母さんの疲れも取れなかたり
赤ちゃんの泣くようすに「私の関わり方が悪いのかな…」と
不安になることもあるかもしれません。

でも、大丈夫。
赤ちゃんはあなたのぬくもりをちゃんと感じながら
眠りのリズムを少しずつ覚えていこうとしています。

毎日、毎日、赤ちゃんのお世話 おつかれさまです。

あなたがかけるやわらかい言葉、やさしくなでるあたたかい手、そっと見守るやさしいまなざし。そのひとつひとつが、赤ちゃんの心と体にしっかり届いています。

どうか焦らず、比べず、「いま赤ちゃんと過ごしている時間」にゆっくり心を向けてみてください。

あなたと赤ちゃんにとって、今しかないこの貴重な時間
少しでも…かけがえのない時間として輝くことを願っています。

📖出典

※1 グリッグダン・バーナー ほか,(2016)
0~2ヶ月齢乳児の睡眠の視覚的スコアリング
(JCSM: Journal of Clinical Sleep Medicine/米国睡眠医学会公式誌)
※2 エヴリン・スターンほか(1969)
乳児の睡眠サイクルの特徴
(AAP:American Academy of Pediatrics米国小児科学会)
※3・ハワード・P・ロフワーグ ほか(1966)
人間の睡眠と夢のサイクルの個体発生的発達
(Science)
※4 ハイリン・チェン ほか(2022)
幼少期のレム睡眠:包括的なナラティブレビュー
(International Journal of Environmental Research and Public Health)

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    保育士 MIMA

    大学で福祉全般を学び、児童指導員や保育士歴18年目、3児の母。 学生時代からキャンプの運営やグループワークを実践し、ボランティア活動では、障害のある方や少年院で生活する子どもたちなど、大人から子どもまで幅広い人たちと交流。失敗を重ねながらも『一人ひとりが輝くために大切なこと』を学び、実践。”ベテラン風新人”をコンセプトに、学ぶ姿勢を持ち続けたい!と、現在も保育園保育士として子どもたちに向き合い続けています。