《ようこそ》あなたが輝けば、子どもも輝く。日常のささやかな幸せを一緒につないでいきましょう。

赤ちゃん

【産後】データでみる「産後ママの現実」寝ないで頑張るあなたへのメッセージ

赤ちゃんと母親が添い寝している様子

「誰にもわかってもらえない…」そんな気持ちを感じているあなたへ

夜中に何度も起きて授乳して、
今日も赤ちゃんを抱っこして、笑顔を見せようとがんばっている、あなたへ。

気づけば冷めたままのごはんと、ぐずる赤ちゃん。
誰にも代わってもらえない、たった一人の時間が毎日毎日ずっと続く…。

そんな時間がずっと続くと、
いつの間にか「自分の笑顔」を忘れてしまいそうになることもあるかもしれません。
でも、あなたがつらいのは、気のせいでも弱いからでもありません。

今の「しんどい」と感じる気持ちを、誰かと分かち合いませんか?
今の気持ちを誰かと分かち合うことが、あなた自身を守る第一歩になるからです。

この記事では

・産後のママたちがどれくらいの時間を授乳やお世話に費やしているのか、具体的なデータから【産後ママの現実】について
・「赤ちゃんが寝たらママも休める」と思われがちな誤解と、【実際の育児負担とのギャップ】について
・「産後うつ」や「心の疲れ」から守るための【考え方】や【実践できる対処法】
を保育士が分かりやすく解説します。

💤 データで見る「産後ママの現実」

🔹「授乳回数」と「授乳にかかる時間

月齢・期間授乳回数(1日)
【平均 / 幅】
授乳時間(1回)
【平均 / 最大】
授乳トータル時間(1日)【平均 / 最大】
新生児期(〜1ヶ月)平均11回(6〜18回)約20分(最大40分)約220分(3.7時間)〜720分(12時間)
1〜2ヶ月頃平均9回(6〜12回)約18分(最大30分)約162分(2.7時間)〜360分(6時間)
3〜5ヶ月頃平均7回(6〜8回)約15分(最大25分)約105分(1.75時間)〜200(3.3時間)
6ヶ月以降平均5回(4〜6回)約10分(最大15分)約50分(0.8時間)〜90分(1.5時間)

J.C.ケントら(2006)の研究(※1)によると、新生児期の授乳は、1日平均11回最大で18回に及ぶこともあります。また、厚生労働省のガイドラインでは、1回の授乳時間は15〜20分が目安ですが、個人差で最大40分近くかかる場合もあります。
これを掛け合わせると、1日あたりの授乳時間は平均約3.7時間、最大で12時間に達する計算になります。

つまり、授乳だけで1日の半分を費やす日もあるのです。

🔹「オムツ替え」にかかる時間

月齢・期間オムツ交換回数
【平均】
1回あたりの時間
【平均/最大】
1日のトータル時間
(平均/最大)
新生児期(〜1ヶ月)約10回/日約4.2分/6分約42分/60分
1〜2ヶ月約8〜10回/日約4分/6分約32〜40分/60分
3〜5ヶ月約6〜8回/日約3.5分/5分約21〜28分/40分
6ヶ月以降(離乳開始)約5〜6回/日約3分/4.5分約15〜18分/27分

「おむつ替えはすぐ終わる」と思われがちですが、実際には1回約4分、1日に10回近く行うことも多く、
合計1日に1時間近くをオムツ替えに費やすママもいます(※4)。

🔹「その他:家事など」にかかる時間

授乳おむつ替えだけではなく、赤ちゃんが泣けばあやし、ようやくお世話がひと段落すると寝かしつけ
「赤ちゃんが寝たら、ママも自由な時間ができる」と思いがちですが、実際は違います。
その間にも、たまった洗濯や家事部屋の片づけ赤ちゃんの環境整備、さらに食事の準備買い物、自分やパートナーのケアも必要です。

1日はたった24時間。
赤ちゃんの命を守り育てることに多くの時間を費やしながら、残されたわずかな時間で家事や身の回りのこともこなさなければならない。それが、産後ママの現実なのです。

🔹「産後ママの睡眠時間」の「重大な落とし穴」

赤ちゃんのお世話だけでなく、さまざまな家事にも追われる産後ママ。
そんなママたちは、一体どれくらいの睡眠時間を確保できているのでしょうか?

月齢・期間平均睡眠時間(1日)最大値(参考)睡眠の質・特徴
産褥早期(産後1週)約3〜4時間約5時間未満日中も断続的で休めない。夜間の授乳・抱っこで細切れ睡眠に。
産後1〜2ヶ月約5.0時間約6.5時間夜間の中断が続くが、少しまとまった睡眠が増えてくる。
産後3〜4ヶ月約6.2時間約7時間赤ちゃんの生活リズムが整い始め、睡眠の質もやや向上。
産後5〜6ヶ月約6.5〜7時間7.5時間程度夜の授乳回数が減り、1〜2回の中断で済む日も出てくる。
世界平均(産後全体)約6.8時間(夜間)
約7.1時間(合計)
8時間前後国や支援環境によりばらつきあり。日本は特に睡眠の質が低い傾向。

研究手法:アクチグラフ手首装着型の睡眠測定装置)で客観的に測定(※5)

産褥期(産後1週目)では、昼寝を含めても1日3〜4時間ほどの睡眠しかとれていないことが多いと報告されています。1〜2ヶ月を過ぎると平均5時間、3〜4ヶ月後には6時間台まで回復する例もあります。

MIMAポイント!
この表には、「平均睡眠時間」には重大な落とし穴があります!

「平均5~6時間」と聞くと、そこそこ眠れているように感じるかもしれません。
しかし実際には、授乳やおむつ替えで何度も睡眠が中断されているため、
まとまって眠れる時間は1回30分〜多くても1時間半程度しかないのです。

研究の補足で
・「睡眠の断片化(fragmented sleep)は、睡眠トータル時間が同じでも回復度が大きく低下する
・「1回の連続睡眠が2時間を超えない場合、熟睡感や体力回復が得られにくい

つまり、睡眠は細切れで、脳も体も回復に至らない、十分休まらない「実質的な睡眠不足」が続き、多くのママが苦しんでいるのです。

また、世界の平均と比べると日本のママはやや睡眠時間が短く、睡眠の質が悪いと感じる人が約78%にものぼる(※6)ことから、十分な休息や支援が必要な状況であることが数字からも明らかです。

💔「マタニティーブルー」と「産後うつ」

項目発症率主なリスク要因
マタニティーブルー(産後1〜2週)約50〜80%(日本では約15〜35%)初産、妊娠中の不安・抑うつ、社会的支援不足
産後うつ(産後〜6ヶ月以内)約10〜15%(日本国内/世界平均とも)初産、妊娠中の抑うつ、不安定な家庭環境、睡眠不足、孤立、夫婦関係の不調

2020年サイエンティフィック・レポートより(※7)

マタニティーブルー」は、ホルモンの変化や睡眠不足、疲労から起こる一時的な気分の落ち込みで、多くのママが経験し、通常2週間ほどで自然に回復します。

➡️しかし、孤独感や不安が続くと、心の負担が大きくなり「産後うつ」へ進む可能性があります。
とくに初産のママや妊娠中から気分の落ち込んでいた人、パートナーや家族のサポートが少ない環境にいる人は、特に注意が必要です。

また、夜中の細切れ睡眠や孤独感、経済的・人間関係のストレスも症状を悪化させる要因です。
だからこそ、育児支援やパートナーの理解と協力が不可欠なのです。

MIMAポイント!
「マタニティーブルー」は誰にでも起こりうるものです。

だからこそ、「今、しんどい」と感じている状況を軽視せず、ママの置かれている現実を(このブログを通してでも)少しでも知ってもらいましょう。そして、頼れる人に頼ったり、地域の支援や公的ケアやサポートにつながることが、「産後うつ」からママを守る、大切な一歩になります。 

赤ちゃん育児は、ママ一人で抱え込む問題ではありません。ママの状況や、気持ちを、是非パートナーや周りの人にも知って欲しいと願っています。

🍀あなたの頑張りを一緒に分かち合いましょう

夜中の3時、赤ちゃんの泣き声で起きておむつを替え、授乳し、寝かしつける。
時計を見ると、朝まであと2時間。

赤ちゃんとの時間はとてもかけがえのない貴重なものです。
けれど、「命を育てる」営みは休みなく続き、
とても一人で抱えきれるものではありません。

だからどうか、
「もっと、頑張らなきゃ」と自分を責めないでください。
あなたはもう、十分に頑張っています

📩大切な人に、このページをシェアしましょう

子育ては、一人でがんばるものではありません。

パートナーや身近な人、さまざまな支援機関と気持を分かち合いながら、
育児のつらさも共有しましょう。

あなたの分かち合おうとする想いは、
きっと明日の育児の小さな喜びにつながっていくことでしょう。

(次回は「パートナーが自然と助けたくなる産後ママの伝え方」をお届け予定です)

👆ためらわず相談しましょう

話せる相手がいることが、あなたの心の支えになります。
多くのママたちも利用している相談機関をまとめました。

匿名OK、チャットやLINE対応の相談窓口もあり、電話や対面が難しくても気軽に相談できます。
ママのことが心配なパパも、明日のママの笑顔のためにぜひ利用下さい。

【最新】2025年 全国「子育て(生活)相談窓口」~LINE・チャット相談も!使える制度や給付金についても紹介~

2025/6/29

「誰かに相談したいけど、どこに連絡すればいいの?」 そう思った時に、全国どこからでも利用できる子育て(生活)相談窓口があります。今は、会って相談や電話 ...

📖参考文献

※1 J.C.ケントほか
授乳量と頻度、および一日を通しての母乳の脂肪含有量」(2006)

・授乳・離乳の支援ガイド 実践の手引き(2019年改訂版)第2版 公益社団法人母子衛生研究会 2021
・母乳育児支援スタンダード第2版 NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会  医学書院 2015
・Kent JC et al. Volume and frequency of breastfeedings and fat content of breast milk throughout the day. Pediatrics. 2006;117(3):e387-395

※4 仲 綾子, 谷口 新
 「複合商業施設における行動観察調査にもとづくおむつ替えゾーンを中心としたベビー休憩室の利用実態と計画課題」日本建築学会計画系論文集 J-STAGE

※5 鷲尾 弘枝(2024)
妊娠初期から出産後1年までの妊産婦の睡眠時間に関する縦断的調査
  日本母性看護学会誌

※5 ユアン.ヤンほか(2020)
周産期および産後女性の睡眠の質低下の有病率:観察研究の包括的メタ分析
NIH:米国立衛生研究所

※6 ジョディ・A・ミンデル ほか(2013)
母親の睡眠に関する異文化比較」NIH:米国立衛生研究所

※7 中村由佳子ほか(2020)
日本の初産婦の周産期うつ病および不安は経産婦よりも高い
 Scientiffic Reports

※7 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業(2020)
妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル~産後ケアへの切れ目のない支援に向けて~改訂版
国立保健医療科学院

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    保育士 MIMA

    大学で福祉全般を学び、児童指導員や保育士歴18年目、3児の母。 学生時代からキャンプの運営やグループワークを実践し、ボランティア活動では、障害のある方や少年院で生活する子どもたちなど、大人から子どもまで幅広い人たちと交流。失敗を重ねながらも『一人ひとりが輝くために大切なこと』を学び、実践。”ベテラン風新人”をコンセプトに、学ぶ姿勢を持ち続けたい!と、現在も保育園保育士として子どもたちに向き合い続けています。