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幼児期

【幼児期編】「ごめんね」が言えない年齢別の背景|「ごめんね」を育てる親の関わり方

2025年8月25日

幼児期の子が大人に支えられながら一緒に謝ろうとする姿

子どもが悪いことをしてしまったとき、
「ごめんね」と言える子もいれば、なかなか言えない子もいます。

親としては「ちゃんと謝ってほしい」と思う一方で、
無理に言わせても良いのか悩む場面は多いですよね。

でも実は、
子どもが謝れないのは性格やしつけ不足の問題ではなく、
心の発達段階に沿った自然な姿なんです。

この記事では

・幼児期に「謝れない理由」と対応方法
・心が成長し「謝る力」を育てる関わり方

を、発達心理学や教育学の知見を基に、保育士が分かりやすく解説します。

幼児期の子が「ごめんね」を言えない5つの理由

まず、子どもが謝れないときに考えられる主な要因を整理します。

1.気持ちや状況の整理がまだできていないから
怒りや悔しさ、怖さや不安などが先に立ち、言葉にできなかったり、状況をうまく理解できないことがあります。

2.相手の気持ちを想像する力が未発達だから
幼児期は自分の気持ちでいっぱいになりがちです。「楽しい」「嫌だ」「~したかった」など今の感情でいっぱいになり、相手の立場に気づきにくいのです。

3.自己イメージを守りたいから
謝ることで「自分が悪い」と思われるのが怖かったり、恥ずかしさやプライドやから口を閉ざしてしまうことも多いです。

4.親から促されすぎて抵抗感を持っているから
自分の思いを聞いてもらえなかったり、まだ状況を理解していない状態で「謝りなさい!」と強く言われると、余計に反発したり口を閉ざしたくなる時があります。

5.「ごめんね」の意味をまだ理解できていないから
幼児期は、「ごめんね」という言葉はまだ抽象的です。悪いことをしたから謝るという因果関係や、相手の気持ちを想像するのは難しく、ただ音として「ごめんね」を真似することがあります。

6.「謝る=解決」と表面的に理解してしまうから
大人に言われて機械的に「ごめんね」と言うと、「とりあえず謝れば終わる」と誤解することがあります。本来は「相手が痛い思いをした」「相手が悲しい気持ちになった」といった相手側の気持ちを理解することが大切ですが、言葉だけで片づけてしまうことがあります。

👶 幼児期:「ごめんね」を育てる効果的な対応方法

自分の気持ちを十分受け止めてもらえると、他者の気持ちにも少しずつ気づけるようになってくる時期です。

「ごめんね」を育てる効果的な関わり方

1.状況と気持ちを受け止める
「やりたくてできなくて、怒ったんだね」と、状況と感情をそのまま受け止め返しましょう。この時の「受け止め」は、間違った行いを「肯定」したり「否定」するといったジャッジをすることではないので注意しましょう。あくまで、出来事そのものに「~だったんだね」と伝えることで、子どもが「わかってくれた」と感じ、落ち着き、次の話を聞けるようになります。

2.感情の整理をサポート
「○○したかったんだね」「△△ちゃんは悲しい気持ちなんだね」と子どもの気持ちを言葉にして伝え、感情を整理する手助けをしましょう。

3.お手本を示す
大人が日常的に謝る姿を見せたり、一緒に謝ることで「こう伝えたらいいんだ」と学んでいくことができます。真似したり繰り返すことで、自分でもできるようになってきます。

4.謝罪の多様な形を受け入れる
言葉だけでなく、「なでなで」したり「お手伝い」したりなど、子どもなりの方法も受け入れてあげましょう。それが次の成長につながります。

5.向き合えたことをしっかり認めてあげましょう
謝罪ができたできなかった以上に、大人と「解決に向けて一緒に向き合えた」ことをしっかり認め、成長を喜ぶことで、望ましい行動に向けてのステップになります。

MIMAポイント!
幼児期は、自分のやりたいことに気持ちの中心がある時期です。一方、トラブル時に適切な大人の援助を通して「状況」や「相手の気持ち」を少しずつ理解していける時期でもあります。関わりで大切なのは、まず子どもの視点を受け止め、子どもが「わかってくれた」と安心することです。その上で、新たな視点(客観的状況、自分の気持ち、相手の気持ち、どうしたらよかったか)を一緒に考えていきましょう。

🌱 この時期の関わりで育まれる力

少しずつ言葉やルールを理解し始め、「いい・悪い」や「ごめんね」の芽が育つ段階です。

共感力
自分の気持ちを理解してもらう経験から、他者の気持ちにも気づけるようになります。

自己調整力
怒り・悲しみ・喜びなど、大人と一緒に整理しながら表現や行動を調整する力が育ちます。

社会性の芽
大人の適切なサポートがあれば、トラブルを通して「どうすればよかったか」を少しずつ学ぶことができます。

謝罪の芽
大人のお手本を通して、「謝る」「なでなでする」など、相手と関係を修復する方法を少しずつ理解できるようになります。

MIMAポイント!
この時期のキーワードは「気持ちの理解」「お手本」「共感」です。
大人がその時の気持ちを受け止めたり、お手本を示すことで、自分と他者の気持ちをつなげる力が育っていきます。

🛠「謝る」ことが難しい子へのサポート方法

子どもの中には、相手の気持ちの理解や状況の読み取りがむずかしい子、それらを理解するのに時間がかかる子もいます。そのため、何度伝えても「ごめんね」が自然に出てこなかったり、謝る必要性をすぐには理解できなかったりすることがあります。

これは特別な診断があるかないかに関わらず、誰にでも起こり得ることです。
「どうしてうちの子は、何度伝えても分からないんだろう」と感じる親御さんも少なくありません。

✅効果的なサポート方法

  • 視覚的に伝える:絵カードや図、ぬいぐるみなどを用いて、状況や感情を視覚的に示すことで理解を促します。それぞれの立場から「どう感じてると思う?」と聞いてみるのもいいでしょう。
  • 具体的に指示する:相手の気持ちに気づけたら、「あなたが~して、〇〇ちゃんが悲しんでいるから、どうしたらいいかな?」と次に子どもがすべき行動を質問したり、なかなか気づけない時は「こういうときは、『ごめんね』と言おうね」と、理由と次に取るべき行動をアドバイスします。
  • 大人が一緒に謝罪しモデルを示す:自分では言えないなど緊張を伴う場合は、「一緒にごめんねしよう」と子どもの気持ちに寄り添った上で、一緒に言っていきましょう。
  • 繰り返しの経験を保証する:大人と一緒であっても、謝罪の場面を繰り返し経験することで、行動の定着を図れます。

MIMAポイント!
「ごめんねが言えない子」は、「理解できない子」や「悪い子」では決してありません。どう伝えたら理解できるのか?どう支えたら言えそうか?を、子どもに合わせて工夫していくことが大切です。根気強く子どもの気持ちに寄り添っていくことで、謝罪の意義を理解し、適切に行動できるようになります。

それでも困りが続くときは

もし「繰り返し伝えても、伝わらないな」「同じことを繰り返し、トラブルが続いてしまう」と感じるときには、ひとりで抱え込まずに相談してみることも大切です。地域の子育て支援センターや発達相談機関では、同じような困りごとを持つ親子のサポートをしています。

親が安心して取り組める環境が整うことで、子どもも少しずつ「ごめんね」を身につけていくことができます。

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🌱 日常生活で育む「謝る力」

日常生活の中で、子どもは多くのことを学びます。「ありがとう」「ごめんね」といった言葉を、私たち大人が日常的に使うことで、謝罪の意義や方法を自然に学ぶことができます。

✅ 日常生活でできる実践方法

感謝の言葉を積極的に使おう
大人が「ありがとう」「助かったよ」といった言葉を積極的に使い、感謝の気持ちを表現しましょう。

失敗を責めるのではなく、解決策を考えよう
誰かの失敗を責めるのではなく、どうすれば良かったかを一緒に考えましょう。

トラブルを成長のチャンスと捉えよう
兄弟や友達同士のトラブルを、成長のチャンスとして捉え、解決策を一緒に考えていきましょう。

まとめ:子どもの心の成長を支える関わり方

子どもが謝罪をしない背景には、発達段階や心の成長過程が深く関わっています。
「ごめんね」と言えないのは、子どもが未熟だからではなく、成長のプロセスの一部です。

大切なのは「言葉を出すこと」よりも、
その子なりの方法で「相手の気持ちに向き合う経験」を一緒に積んでいくことです。

親が年齢に応じた関わりをすることで、
相手の気持ちを想像したり
自分の行動を振り返ったり
その結果
人とつながる力を持つ子に育っていきます。

「今は言えなくても大丈夫」
親がそう信じ、今の気持ちに寄り添うことが、
子どもの「ごめんね」に自然とつながっていきます。

子どもの力を信じ、一緒に進んでいきましょう。

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    保育士 MIMA

    大学で福祉全般を学び、児童指導員や保育士歴18年目、3児の母。 学生時代からキャンプの運営やグループワークを実践し、ボランティア活動では、障害のある方や少年院で生活する子どもたちなど、大人から子どもまで幅広い人たちと交流。失敗を重ねながらも『一人ひとりが輝くために大切なこと』を学び、実践。”ベテラン風新人”をコンセプトに、学ぶ姿勢を持ち続けたい!と、現在も保育園保育士として子どもたちに向き合い続けています。