出産という大きなライフイベントを経たあとは、喜びの中に戸惑いや不安が入り混じり、心と体が大きく揺れ動く時期でもあります。
「眠いけれど、ちゃんとお世話しなきゃ」「気持ちが不安定…、私だけおかしいのかな?」——そんなふうに感じたことはありませんか?
でも、それは“あなたが弱いから”ではありません。ホルモンの変化、生活の激変、終わりのない育児…。誰だって、戸惑って当然なのです。
そんな時こそ、自分を責めるよりも「自分をいたわること」を思い出してほしいのです。
出産後の体のつらさと心の変化、その原因は?⇨体と心に影響を与える【4つのホルモン】についての記事は
コチラ👉(「【出産後】産後の私に、やさしい目を。ホルモンが伝えてくれる体からのメッセージ」)
1. 睡眠と休息の確保
- セルフケア:赤ちゃんと一緒に少しでもお昼寝。夜間授乳をパートナーと交代制に。小刻みな休息でも効果があります。
- エビデンス:睡眠不足はエストロゲン・セロトニンの調整を妨げ、産後うつのリスクを高めることが示されています。
(「睡眠の質の低下は産後女性のうつ病や不安の症状を悪化させる」Okun et al.共同研究, 2011)
MIMAポイント!
・まずは、パートナーや身近な頼れる人にあなたの体と心の変化について共通理解を育てましょう。互いのモヤモヤを解消し、いたわりあえる関係に繋がっていきます。
・おススメ精神的休息方法は、”私だけのおやつタイム”です。がんばっている自分に時々ご褒美を!ちょっとだけ憧れてたおやつを買って、がんばる自分へのご褒美をあげていました。また誰かから、「がんばってるね!」と言われるのも、眠さもつらさも癒され”これでいいんだ”とホッとできたのを覚えています。身近な人は、是非いつでも声をかけてあげて欲しと思います。
・お母さんは、24時間休みナシです。赤ちゃんのために家事や食事など完璧にしたい!がんばりたい!気持ち、責任感も産後マックスになりがちですが…。この時期一番大切なのは「赤ちゃんのこと」「自分の体調を整えること」そのために「少しでも休息をとること」です。
できない家事があっても大丈夫!今しかできない大切なケアに気持ちを向けていきましょう。
2. 軽度な運動・ウォーキング
- セルフケア:赤ちゃんを抱っこしての散歩。YouTubeなど産後エクササイズ動画を活用するのも自宅でできて良いですよ。
- エビデンス:産後6週以降の軽い運動は、エンドルフィン(幸福ホルモン)を分泌し、気分を改善する効果があります。
(「産後うつ病の治療における運動の役割:文献レビュー」Daley et al., 2007)
MIMAポイント!
赤ちゃんを抱っこしての初めての散歩は、同じ風景でも全く違って見えたものです。
車に乗って出かけることも多い昨今かと思いますが、歩いてみて、初めて見える景色があります。近所のちょっとした四季を感じる自然や草花、声をかけてくれる近所の人、空の青さや雲が流れる様子。心地よい風。日常の中で立ち止まって見たことが無かったものへ、ゆっくり歩み寄って、赤ちゃんと心の声をかけていくと、いつもの景色からグンと世界が広がっていくような~不思議な感覚があり、しんどかった気持ちがスッと軽くなっていったのを覚えています。
3. 栄養バランスの取れた食事
- セルフケア:魚、野菜、豆類などを意識的に摂取しつつ、難しければサプリメントやお惣菜活用など無理なく摂れるといいですね。
- エビデンス:鉄分、ビタミンD、オメガ3脂肪酸の不足は、産後の気分障害と関連があると報告されています。
(Leung & Kaplan共同研究, 2009)
4. オキシトシンを増やすスキンシップ
- セルフケア:授乳・抱っこ・お風呂タイムなど、日常のスキンシップが心身の安定につながると言われています。
- エビデンス:赤ちゃんとの肌の触れ合い(スキンシップ、授乳、ハグなど)によって、オキシトシンが分泌され、ストレス緩和や愛着形成に役立つことが分かっています(Uvnäs-Moberg, 2003)。
MIMAポイント!
心や体がしんどい時は、赤ちゃんとの心地よい時間も苦痛に感じられるかもしれません。
・パートナーと役割を分担したり、普段忙しい相手なら1週間の中で赤ちゃんに関わることを1つだけ担ってもらう、またイベント的にお風呂タイムを一緒に取り組むなど、協力体制を築きましょう。(なかには、お願いをしてないのに、自分からなにかと動いてくれる味方がいるかもしれませんが。)
・この時期から、家事や役割を今まで以上に担ってもらうことはとても大事です。将来共働きになったときや、そうでなくとも子育てで協力していくための大事な一歩となります!一人で頑張ろうとせず、相手を信じて声をかけていきましょう。
・ワンオペや、援助できる人が身近にいないこともあるでしょう。そんな時は、心や体が疲れてしまう前に、意識的に下記(5マインドフルネス、その他2つ)も試してみましょう。
5. マインドフルネス・呼吸
- セルフケア:1日5分でも、静かな環境で呼吸に意識を向けるだけでOK。アプリ「マインドフルネス・瞑想アプリ」もおすすめです。
- エビデンス:マインドフルネス(瞑想)は、不安・抑うつ症状の軽減に効果があるとされ、産後の母親にも有効であることが研究で示されています(Dimidjian et al., 2016)。
MIMAポイント!
わたしが育児をしている時代には、無かった新しい発想で、早速やってみました!日々追われていますが、いろいろな考えから解放されたような、穏やかな気持ちが体を包むような感覚がありました。
厚生労働省やNHKからの情報発信もありました。具体的なやり方も載っていましたので、以下にご紹介します。
・厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』瞑想の記事はコチラ
👉(瞑想Meditation)
・瞑想の仕方:NHK「きょうの健康」
👉(「命を守る!ストレス徹底対策『心を“今”に向ける』」)
6.社会的サポートを得ること~つながりは心の酸素~
- ケア:誰かに「話す」だけでも心理的ストレスは軽減されるため、気軽に頼ることが重要です。地域の母親サロンや支援団体の活用、児童館や市の子育て相談なども◎。今は、SNSで同じ子育て仲間をさがしたり、つながることも簡単になっています。
- エビデンス:家族や友人、地域の支援ネットワークからのサポートは、ストレス軽減や不安の緩和に強く関連しています(Dennis & Letourneau, 2007)。
MIMAポイント!
私は、誰かとつながることが不安だったり自分を表現することに恥ずかしさがあり、なかなか入っていけない方でした。
このブログがきっかけで、インスタ、スレッズ、を最近開始。いざ始めてみると、さまざまな方の悩みや喜びに触れ、つながりが持てる喜びも感じました。匿名なので、気軽にコミュニケーションがとれることにもメリットを感じ、さまざまな価値観がいい刺激になりました。
一方、気を付けたいこともいくつか感じましたので、次回の記事にて詳しくお話したいと思います。
簡単にまとめると
・となりの芝が青くステキに見えやすい👉その分、今の自分に自信を落とすきっかけにも
・気分が沈んでいる時は、同じように気分が沈んでいる投稿が目に留まりやすい👉同調効果で今より気分悪化に
そのような逆効果を生む危険もある為、付き合い方を考えて上手に活用しましょう。
この活用術が、将来子どもが育った時にも、教える立場として生かすことができるでしょう。
7.専門家に相談する(早めの対応)
- ケア:産後健診や保健師相談など、公的な窓口を気軽に活用することで孤立感の軽減になります。
- エビデンス:早期の心理的支援(カウンセリング、母親教室など)は、産後うつの予防と回復を促進する効果があると示されています(O'Hara & McCabe, 2013)。
まとめ
出産後の心と体の変化は、ホルモンの大きな波や環境の変化による“自然なゆらぎ”です。ですが、母になったばかりの始まりたての子育てや、2人目以降の出産だと兄妹児への配慮に加え、家事との両立という忙しい渦中にいると、なかなかつらい気持ちを出せないこともあるかもしれません。
「気分が沈んでもおかしくないよ」「頼っていいんだよ」「休んでいいよ」と優しく自分に声をかけてあげて下さい。
普段から、あなたのがんばりが息切れしないように、
・自分の心と体に耳を傾けてあげる
・自分を大切にするため、小さな実践=セルフケアを積み重ねる
ことが大切です。
ちょっとした工夫で、毎日を少しでも心地よく過ごせますように。