出産して無事に赤ちゃんを抱いた瞬間、「ホッとした」「幸せ」と感じたりする一方で、「思っていた以上に心や体がついてこない…」と戸惑うこともあるかもしれません。
「なんだか涙が出てしまう」「イライラしてしまう」「私、変わっちゃったのかな?」そんな風に感じるのは、あなただけではありません。
実は、出産後の体と心の変化には、【4つの体内ホルモン】のゆらぎが大きくかかわっていたのです!
「体内ホルモン」ってどこで作られるの?どこへいくの?
ホルモンって、どこで作られて、どんな働きをしているのでしょう?
ホルモンは、体の中の“工場”=内分泌腺でつくられ、血液という“川”に乗って、全身にメッセージを届ける“伝令役”のような働きをしています。
それぞれのホルモンには、届け先(=作用する臓器)があり、到着すると体のいろんな機能をサポートしたり、調整したりしてくれるのです。
産後の体と心を調整してくれる 4つのホルモン
エストロゲン
妊娠・出産~更年期まで支えるホルモンで、肌や骨の健康、気分の安定にも影響を与えます。
《つくられる場所》卵巣
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《目的地》全身を流れながら子宮、乳腺、脳へ。
《なにをするの?》
・子宮内膜をふかふかにして妊娠に備える
・肌や髪のうるおいを守る
・骨を丈夫に保つ
・気分を安定させる(脳にも作用)
・心の安定や、やる気・前向きさにも関わるため、急激に減少するとイライラや落ち込みが出やすくなります。
📝 妊娠中に数十倍に増加し、出産後には急激に減少するそうです。この急落が、感情の不安定さやイライラ、涙もろさといった「マタニティブルー」の一因ともされています。
プロゲステロン
妊娠を維持するために大切なホルモンです。
《つくられる場所》卵巣
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《目的地》子宮、乳腺、脳など
《なにをするの?》
・子宮内膜を維持し、妊娠を安定させる
・体温を上げる(妊娠中や高温期)
・眠気やだるさ、イライラなど気分にも影響
・ イライラ・不安・眠気・落ち込みなど、”気分の変動”に関与するホルモンです。
📝 出産後に急降下することで、気分の落ち込みや不安感に関係すると言われています。
プロラクチン
母乳をつくるホルモンとしてよく知られていますが、実は心にも作用しています。
《つくられる場所》脳の下垂体(かすいたい)
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《目的地》乳腺(にゅうせん)へ
《なにをするの?》
・母乳をつくるよう乳腺に指令
・授乳中、排卵を抑える作用(生理が止まる機能の1つ)
・赤ちゃんとの触れ合いで増える
・赤ちゃんを守りたい気持ちを後押しする
・赤ちゃんが吸う刺激で分泌が高まり、赤ちゃんとの絆づくりにも関わると言われます。
📝 完全には解明されていませんが、プロラクチンが高い間は、母としての本能的な働きが強まる一方で、感情が不安定になったり、眠気が強くなったりすると考えられています。
オキシトシン
赤ちゃんとのふれあいで分泌が増える、とてもやさしいホルモンです。
《つくられる場所》視床下部→下垂体から分泌
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《目的地》子宮、乳腺、脳など
《なにをするの?》
・母乳を「出す」ために乳腺をぎゅっと収縮
・陣痛を起こす(子宮収縮)
・スキンシップや愛情で増える
・心を落ち着かせ、不安をやわらげる
・授乳や抱っこで分泌が増え、「赤ちゃんかわいい」と思える感情に関与します。
📝スキンシップや目を合わせることで増えると言われていて、赤ちゃんを抱っこするだけでもオキシトシンは出てきます。
「赤ちゃんがかわいい」と感じる気持ちにも関係しているそうです。
MIMAポイント!
・産後の心と体は、これだけ激的に変化していたのですね!これだけの変化があれば…どんな人でも今までとの違いに戸惑って当然でしょう。
・母親が赤ちゃんを守り、育てるための自然なはたらきとして体内ホルモン変化は起きています。ホルモンも臓器も一生懸命“育児モード”に切り替えようとしてくれていたのですね。つらさや、不安定さは、あなたが未熟だからでは決してありません。
・「こんなに疲れるのは、体が変化してるから当然!」「泣きたくなるのは、あの体内ホルモンのせいか!」「イライラするのは体内ホルモンから来てるんだった!」と、体に起きていることを客観的に見て、”変化しながらがんばろうとしている体”を感じ、受け入れていくことが、気持ちを少しでも軽くするポイントです。
☝️今後の記事で☝️このような”心理的・身体的負担を軽減できるようなセルフケアについて”お話しできればと思っています。
あなたの体は、あなたと一緒にがんばろうとしています。
そんなあなたの体と心に、「よくやってるよ!私」と是非いたわってあげてくださいね。