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幼児期

【登園しぶりシリーズ】1~2歳編:「いや!」への対応と安心して預けられる親の関わり方

保育園に向かう、2歳の男の子と母親と父親。子どもが両手をひろげ、父と母を引っ張っている。歩く道の両サイドには新緑の木々が茂っている。

朝の登園で、
「行きたくない!」「いや!」と泣いて抵抗するわが子を前に、
毎日、一生懸命関わっているのに
「上手くいかないな……」
そんなふうに悩んでいる人はいませんか?

それは、あなたの頑張りが足りないからではありません。
この時期特有の「ちょっとしたポイント」を押さえるだけで、子どもの姿は変化します。

結論から言うと、1〜2歳の登園しぶりは、気持ちや意思が大きく育った一方で、まだ自分で整理したり切り替えたりする力が追いつかないために起こる、「発達上の自然な揺れ」です。

この時期の泣きは、ただ「不安だから泣く」だけではありません。

  • 「これは嫌だ」
  • 「自分で決めたい」

という強い自立心が重なって表れます。

大切なのは、気持ちを抑え込むことでも、子どもの言葉に振り回されることでもありません。気持ちは受け止めつつ、切り替えを助ける関わり方を知ることで、登園の時間は少しずつ落ち着いていきます。

この記事では

発達心理の視点や保育現場での実例をもとに、保育士が分かりやすく解説します。

🧒1〜2歳児(幼児期初期)の登園しぶり:子どもの姿と発達的理由

芝生の遊び場。2歳の子が、楽しさいっぱいの笑顔で両手を広げてコチラに向かってきている。子どもの顔には、泥んこが付き満足そうな写真画像。

言葉が増え、自分の気持ちを伝えようとする力が育つ一方で、「行きたくない」「いや!」と強く拒否したり、体を反らせて抵抗する姿が見られるようになります。 泣き方も、0歳の頃の不安からくる泣きとは違い、感情をぶつけるような泣きに変わってくるのが特徴です。

なぜこんなに嫌がるの?背景にある「自立心」と「葛藤」


1〜2歳は、「親に守られたい気持ち」と同時に

  • 「自分で決めたい」
  • 「自分の思い通りにしたい」

そのような気持ちが同時に育つ時期です。
自我が芽生え、「自分の意思」を持てるようになる一方で、まだ気持ちの切り替えや感情のコントロールは未熟なため、登園という分離の場面で葛藤が一気に噴き出しやすくなります。

つまりこの時期の登園しぶりは、「親から離れたくない」だけでなく、「自分の気持ちを分かってほしい」「認めてほしい」という成長のサインでもあります。

泣いたり強く抵抗したりする姿を、わがままや甘えと捉えるのではなく、心が大きく育つための葛藤として理解することが、この時期の関わりで何より大切な視点になります。

1〜2歳児の登園:4つのNG対応

芝生の遊び場。2歳の子が、しゃがみ込み、怒った表情で何かを叫んでいる写真画像。

1〜2歳の登園時に、泣いたり強く抵抗したりする姿は、この時期ならではの自然な姿です。

0歳児の頃は、「泣いたり嫌がった ら、すぐに抱っこをして気持ちを切り替えてあげる」
という関わりで問題ありませんでした。

しかしこの時期の子どもは、「行きたくない」「自分で決めたい」という気持ちが育つ一方で、
まだ自分で気持ちを整理したり切り替えたりする力は十分ではありません。

だからこそ、大人の関わり方次第で、不安や混乱が強まってしまうこともあります。

ここでは、1〜2歳の心の発達を踏まえたうえで、登園時に避けたい関わり方を見ていきましょう。

1.子どもの「言葉」をそのまま受け取ってしまう

1~2歳の子どもが、いろいろな事を思い出してダダをこねています。思い出の中には、ぬいぐるみが欲しかったこと、もっと友達と遊び続けたいこと、お父さんと離れて嫌だったことを、思い浮かべています。

1〜2歳になると、「いや!」という言葉を覚え、繰り返し使うようになります。
でもこの「いや」は、気持ちを正確に表した言葉ではないことがほとんどです。

  • 眠いよ
  • 甘えたいよ
  • 離れたくないよ
  • 遊びをやめたくないよ

こうした気持ちを、覚えたての「いや」という一言に詰め込んで、表現していることも多いのです。

✅ 言葉は出始めていても、自分の気持ちを整理して伝える力はまだ育っている途中だと理解してあげましょう。

2.「いや」と同時に、説得や交渉を始める

1~2歳の子どもが、大きな声泣いて両手を挙げています。お母さんはお手上げ状態で焦り、子どもに一生懸命に話しかけているイラスト。

子どもが少し会話できるようになったからと、強く泣いたり、拒否している最中に「どうしていやなの?」「今日は楽しいよ」「あとで迎えに来るよ」など、必死に言葉で納得させようとすると、逆効果になることが多いです。

1〜2歳の子どもは、気持ちが落ち着いてからでないと、言葉を受け取ることができません。
気持ちが大きく揺れている状態での説明は、ほとんど届かないのです。

✅ 子どもが感情を出すのと同時に説得しようとすると「分かってもらえない」と感じ、「混乱する」状態を長引かせてしまいます。急いで理解させることではなく、まずは気持ちが落ち着く瞬間を待ちましょう。

3.覚えたての「いや」を主導権に、大人が動く

1~2歳の子どもが、ぐずっている姿を見ていられない母親が、焦ってすぐに抱っこをしようとしているイラスト。

1〜2歳の子どもは、「いや」と言うことで、大人が立ち止まったり困ったりすることに気づき始めます。

・「いや」と言うと、抱っこが続く
・「いや」と言うと、予定が変わる
・「いや」と言うと、大人が迷う

こうした経験が重なると、「いや」は気持ちを伝える言葉ではなく、自分の思い通りに“状況を動かす言葉”になっていきます。

✅ 「いや」と言うことで状況が変わる経験が続くと、登園のたびに同じ行動を繰り返すようになり、結果として登園しぶりが長引いてしまうことがあります。

4.「本当はどうしたいの?」と答えを子どもに求める

ダダこねしている1~2歳の子に、母親が指をさしながら怒って話を聴きだそうとしています。子どもは、余計強く泣けてしまっているイラスト。

1〜2歳の子どもは、自分の気持ちを言葉で整理する力、ましてやそれを表現する力もまだ十分育っていません。

「本当は行きたいの?」「どうしたいの?」と聞かれても、
自分でも整理しきれない気持ちを、言葉で答えることは、なかなかできないのです。

✅ 答えられないプレッシャーが、さらに不安や癇癪を強める要因になってしまいます。

母親と2歳の子の笑顔ショット。母親は、子どもに笑顔を向け、愛おしそうに両手で抱っこしています。子どもも、満面の笑顔で嬉しそうな写真画像。

1〜2歳の登園しぶりでは、
「いや!」「いかない!」といった言葉が増え、
大人がその言葉にどう反応するかで、朝の流れが大きく変わります。

この時期に大切なのは、泣かせないことでも、言い聞かせることでもありません。
「気持ちは受けとめる。でも、登園の流れは安定させる」
この一貫した姿勢が、子どもの安心感につながります。

1.子どもが話す気持ちを“そのまま言葉にする”ことで受け止める

朝の保育園で泣いている子どもに、ゆったり笑顔で話しかける母親。子どもは泣きながらも、母親の話に我に返った表情で聞こうとしているイラスト。

登園時に「いや!」と言われたとき、その言葉を止めたり、無理に理由を聞く必要はありません。

  • 「行きたくない気持ちなんだね」
  • 「ママと一緒がよかったんだね」

このように、今の子どもの気持ちを短い言葉で代弁してあげましょう。

✅1〜2歳の「いや」は、不安・甘え・眠さ・切り替えの難しさが混ざった「まとめ言葉」です。
まずは子どもが「気持ちを分かってくれた」と感じることが、切り替えの土台になります。

2.子どもの言葉で、大人の行動を変えない

朝の保育園で泣く子に、ゆったりはなしかける母親。母親は子どもに、近くにいる先生を落ち着いて紹介しているイラスト。

気持ちを受けとめた後は、あらかじめ決めた通りに、予定や流れを穏やかに進めましょう。

  • 「そうだね。じゃあ、先生のところに行こうね」
  • 「うん、分かったよ。○○先生にお願いしようね」

と、穏やかに、でも迷わず行動します。

ここで避けたいのは

  • 予定を変える
  • 迷って立ち止まる
  • 何度も引き返す

こうした対応を繰り返すと、子どもは「イヤと言えば、状況が変わる」と学んでしまいます。

✅1〜2歳は、言葉を使って“世界を動かせるか”を試している時期です。
大人が落ち着いて一貫した対応をすることで、子どもは「この状況は心配いらない、大丈夫なんだ」と感じられるようになります。

3.「これから起きること」を伝え、見通しを持ってもらう

朝の保育園で、子どもを抱きしめながら、笑顔で話しかける母親。これから仕事に行くことや、先生と遊んでいて欲しいことを、ゆったり話している。その横で保育士が両手を広げ、子どもを受け入れようとしているイラスト。

言葉が分かり始めている1〜2歳には、見通しを短く伝える関わりが効果的です。

  • 「今から先生とバトンタッチ(交代)して、お部屋に行こうね」
  • 「おやつを食べて遊んだら、お迎えに来るからね」

長い説明は必要ありません。
短く、同じ言葉で、毎日くり返す」ことがポイントです。

✅見通しがあると、子どもは「よく分からない不安」から「次はこうなるんだな」という理解が進み、少しずつ安心を得られるようになります。

4.最後は、迷わず先生にバトンタッチしましょう

朝の保育園。母親が抱っこしている子どもは母の話を聴いた後、涙ためながらも、母の抱っこから保育士の両手に向かって、自分から行こうとする姿のイラスト。

気持ちを受けとめ、言葉を添えたら、あとは迷わず先生にバトンタッチしましょう。

親が「行こうか…どうしようか…」と迷う様子は、1〜2歳の子どもにとって大きな不安材料になります。

笑顔で「いってきます」「またあとでね」と伝え、スッと離れることで、子どもは「ここで待っていても大丈夫」という感覚を、体で覚えていきます。

ちょっぴり泣けても大丈夫。

  • 気持ちを出せた
  • 受け止めてもらえた
  • 安心できる先生と気持ちを切り替えられた
  • いっぱい遊んでいたら、お家の人が笑顔で帰ってきた

✅これらの経験(流れ)の積み重ねが、1〜2歳の子どもに、自分の気持ちと上手につき合う力をはぐくみます。

MIMAポイント!

初めての登園が始まったころは泣かなかったのに、数日~数週間経ったころ急に泣くようになった…。「慣れてきたと思っていたのに、どうして?」そう不安を抱く、お父さんやお母さんは少なくありません。

この現象は珍しいことではありませんし、決してお父さんやお母さんの関わりのせいでもありません。
では、どうしてこんなことが起きるのでしょうか?

結論:登園が始まってから数日後に泣けるのは、子どもの「予測する力」がついた成長のサインです!

【初日や初めのころ】
泣かないお子さんの多くは、まだ自分に何が起きているか分からず、目の前の状況や刺激に必死になっています。新しいおもちゃに夢中になって遊ぶなんてこともよくあることです。

【少しずつ慣れていくにつれ】
・ここに来ると、お母さんお父さんと離れるんだ
・バイバイした後、遊んでいたら迎えに来てくれるんだ

こうやって、登園の流れを理解し、次に自分に起きることが子どもなりに分かってきたからこそ「離れたくない」「さみしい」という感情を表現できるようになるのです。ですから、成長が「逆戻り」したわけではなく、「認知が進み、心が成長した」と言えるのです。

【乗り越えるために】
子どもの泣く姿に焦ったり不安にならなくても、大丈夫です。
子どものためにやれること、それは

お父さんお母さんが笑顔でバイバイして、笑顔でお迎えに来てくれること

今回紹介した「安心できる関わり方のポイント」をヒントに、ぜひ実践してみてくださいね。

さっきまで泣いたり怒ったりしていた子どもが、気持ちを父と母に受け止めてもらい、2人の間で笑顔に変わった瞬間の写真風画像。父も母も子どもの表情をみて、安心した表情で笑っている。

1〜2歳の「いや!」が毎日続くと、大人でもしんどくなることがあるでしょう。
でも、安心してください。今の状態がずっと続くわけではありません。

この「いや!」は、わがままでも後退でもなく、気持ちが順調に育ち、言葉を使い始めたからこそ起きる、「成長の途中の揺れ」です。

大切なのは「言葉に振り回されず、でも気持ちは置き去りにしないで、受け止めていくこと」

子どもの持つ力を私たちが信じ、そのちょうどいい距離感を保つことが、登園しぶりをこじらせず、安心して園生活へ向かう力につながっていきます。

「きっと、この子は成長してくれる」
子どもの心の声を受け止めながら、その子なりの成長リズムを大切に、ゆっくり安心を育てていきましょう。

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    保育士 MIMA

    大学で福祉全般を学び、児童指導員や保育士歴18年目、3児の母。 学生時代からキャンプの運営やグループワークを実践し、ボランティア活動では、障害のある方や少年院で生活する子どもたちなど、大人から子どもまで幅広い人たちと交流。失敗を重ねながらも『一人ひとりが輝くために大切なこと』を学び、実践。”ベテラン風新人”をコンセプトに、学ぶ姿勢を持ち続けたい!と、現在も保育園保育士として子どもたちに向き合い続けています。