はじめに
「小学生になったら子育てが楽になるかと思ってた。」
「言いたいことばかり言って、聞いてくれな!!」
学童期(小学生)のわが子に対して
そんなふうにじれったく感じていませんか?
思春期の子育てについては
多くの方が悩んだり困ったりする話を
いままでよく聞いてきました
でも…その思春期を語っていくには
実は学童期(小学生のころ)からの関りが
とっても重要なんです!
学童期ってどんな時期?
学童期(おおよそ6~12歳)は、心も体も大きく変化する時期です。
- 学びや遊びを通じて「自分ってこういうことができるんだ!」という感覚を育てる
「有能感(competence)」や「自己効力感(self-efficacy)」の発達
エリクソンの心理社会的発達理論では、学童期は「勤勉性 vs 劣等感」の段階にあり
自分の力で課題をやり遂げる体験が「できる!」という自信につながります。
この時期に成功体験を積み重ねることで
自己効力感が育ち思春期の自己確立への準備になるといわれています。
MIMAポイント!
だからと言って、成功体験ばかりできる子なんていませんよね。
現実は、いざやってみたけれどたくさんの失敗や挫折を経験するのが学童期です。
大切なのは、大人側が失敗をうまく扱っていくこと。
そうすれば、子どもは失敗=劣等感や失望 につながることなく
次に向かう自信につなげていくことができます。そのヒントをお伝えします。
失敗を自信につなげるかかわり方 3つのヒント
1.失敗を大人側が肯定的にとらえて、子どもにその価値観を伝えていく
「次に挑戦する時のヒントがわかったね!」
失敗が終わりではないことを伝えます。むしろ学べてラッキー!
「難しいよね…、だからこそ、次も挑戦したくなるね!」と
大人がポジティブに失敗に向き合う姿を見せていきます。
2.挑戦したことや努力の過程を評価してあげる
「挑戦できることが、かっこよかったよ!」
3.子どもと一緒に振り返る
すぐに解決策を伝えないようにしたいところ。
「どこがうまくいかなかったんだろうね?」と同じ目線で悩んでみる。
すると…
子ども自身が自分の失敗の原因を探したり発見していくことで
自信が持てるようになります!
子ども自身で発見できた時には
「すごい!自分で見つけたんだね!」と
しっかり、ほめてあげましょう。
どうしても…子ども自身でわからない時は
「もしかしたら、~したらよかったかもね。」
と同じ目線から、アドバイスとして伝えていきましょう。
- 社会の中での自分の役割を少しずつ理解し始める
「役割取得(role-taking)」や「道徳的判断力(moral development)」の発達
ピアジェやコールバーグの理論に基づくと
この時期の子どもは「具体的操作期」に入り、
相手の立場や視点を理解し、社会的なルールや倫理
また道徳的判断ができるようになります。
相手の気持ちや視点がわかるからこそ
自分の行動が周囲にどのような影響を与えるかに気づけます。
「社会の中の自分」を意識するようになります。 - 友だち関係や先生との関係を通じて、人と関わる力を身につけていく
「社会的スキル(social skills)」や「情動調整(emotion regulation)」の発達
同年代との関係を通じて、共感性・協調性・自己主張といった
社会的スキルが発達します。
また、友だちとのトラブルや葛藤も
感情のコントロールを学ぶ大切な機会です。
これらが思春期の人間関係の基礎となります。
これらの経験は、
思春期に「自分とは何か?」を考える土台になっていきます。
どうして「心の土台」が大切なの?
たとえばこんなふうにイメージしてみてください。
- 🌱 学童期… 小さな木を植える時期。根(心)を張り、土(安心できる環境)を育てます。
- 🌳 思春期… 木が大きく育ち、枝を伸ばす時期。多少の風にも耐えられるようにしていく。
根っこがしっかりしていれば、嵐(反抗期)にも倒れにくいものです。
学童期の望ましいかかわり方が(以下に詳細あり)
思春期の心の揺らぎを受け止め、安定につながっていくのです。
学童期「心の土台」のつくり方(かかわりのヒント)
✅ 「できた!」を一緒に喜ぶ
→ 小さな成功体験を積み重ねることで、自尊感情が育ちます
つい、何かをさせなきゃ!と思いがちですが
MIMAポイント!
つい、「何かをさせなきゃ!」と思いがちですが
ぜひお子さんと一緒になっていろんなことを体験してみてくださいね。
私は子どもと、スカイアスレチックや登山などをすることが好きです!
自分でもできるかわからないことに挑戦することで、互いに励ましあったり、
自然と協力したり、支えあったり、一緒に成長する楽しさを味わえますよ。
✅ 比べない、否定しない
→ 劣等感を避け、「自分は自分でいいんだ」と思えるベースを育てます。
MIMAポイント!
子ども集団の中では、一般的に「ほめることはみんなの前で」と言われています。
一方、家の中できょうだいをほめるときは、兄弟間の嫉妬に気を付けたいところです。
「お兄ちゃんは○○がすごいと思うけど、~(弟)も△△がすごいんだね!」と
比較ではなく、お互いの良さをみとめていることが伝わるように、意識しています。
✅ ゆるやかな自立を応援する
→ お友だちや先生とのやりとりを見守ることで、外の世界へと安心して羽ばたけます。
MIMAポイント!
友達とのトラブルに大人側が焦りすぎていませんか?
トラブル=子どもの成長のたね だと考えましょう。
その場面を通して、どう感じて、どう考え、どう行動していこうか?
お子さんの気持ちを、ゆっくり聞いてみてもいいでしょう。
その時の成長のコツは、子ども自身が自分で考えること!
長年、子どもに関わっていて思うことは、
トラブルになる子同士は、決して仲が悪いわけでは無く
むしろ仲が良いことが多いということ。関係性が深いからこそぶつかり合うのです。
また、仲が悪いようでも、心の底では仲良くなりたい要求がある子が多いのです。
そのことをぜひ知ってほしいと思います。
おわりに
これから来る、思春期や反抗期、どうしよう!
そんな風に焦らなくて大丈夫。小学生のうちから一緒に考えたり
「あなたのままでいいよ」という安心を積み重ねていけば
思春期もきっと乗り越えていけます。安心してくださいね。