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赤ちゃん

【赤ちゃん編】「いいこと・悪いこと」をどう伝える?0〜1歳の発達ステップに合わせた具体的な関わり方

リビングで一人夢中でおもちゃで遊ぶ赤ちゃん

赤ちゃんがものを投げたり、つかんだり、
時には叩いたりする姿を見て
「これって悪いこと?」
「どう関わればいいの?」
と迷うのは自然なことです。

この時期は、安全な環境の中で十分に探索をし、
自らの力で周りの世界を知っていく時期なんです。

また、大人に守られた安心の中で、
いいこと悪いことを少しずつ感じていく経験が
後の成長につながります。

この記事では

・0〜1歳の赤ちゃんへの「いいこと・悪いこと」の伝え方
・無理に「謝らせる」必要がない理由
・赤ちゃんの発達段階に合わせて、心を育てる関わり方
を発達心理の視点を交え、保育士が丁寧に解説します。

0〜1歳赤ちゃんの素朴な疑問 Q&A

0~1歳の赤ちゃんに善悪はあるの?

⇨いいえ、ありません。

この時期の赤ちゃんは、「なんだろう?知りたい!」という自分の欲求を、「触る・なめる・投げる・叩く」行動を通して探索しながら世界を確かめている段階です。つまり、そもそも「いいこと・悪いこと」という概念自体はまだ芽生えていません

何でも「叩く」「投げる」をしてしまうのはなぜ?

⇨意地悪や反抗ではなく、”学び”の確認作業です。

行動を通して「これはどんな音がするの?」「どういう反応が返ってくるの?」と学んでいます。赤ちゃんがしているのは「ワガママ」や「わざと悪いこと」ではなく、周りの環境に触れ、確かめることで、世界を知ろうとする「学びのプロセス」なのです。
この発達段階を理解することが、親の心を守る第一歩になります。

赤ちゃんが悪いことをしたら「すぐ、あやまらせる」べき?

⇨いいえ、その前にしてほしいことがあります。

赤ちゃんが行った行為が、大人にとって「悪いこと」とすぐに決めつけるのではなく、「どうしてそうしたのか?」「赤ちゃんにとっての意味は何か?」を考えることや、この時期の発達段階を知ることが大切です。

「ダメでしょ!」
「謝りなさい!」の前に…

ぜひ理解して欲しい「それぞれの時期に適した関わり方」があります。

大人側がどう対応していけばいいのか?これから紹介する内容で、一緒に考えていきましょう。

0〜1歳の行動発達の変化

赤ちゃんの「困った行動」は、実は成長に伴って変化する「世界を確かめる方法」の違いです。今、お子さんがどの段階にいるか確認してみましょう。

※個人差があるため月齢はおおよその目安と考えましょう。

生後〜3か月頃(ねんね期) 【快・不快の表現】

まだ「いい・悪い」の意識はありません。「お腹すいた(不快)」「抱っこ嬉しい(快)」など、生理的な感覚を泣いたり笑ったりして全身で表現します。

4か月〜6か月頃(寝返り期) 【なめる・触れる探索】

首がすわり、自分の意思で手を伸ばせるようになります。手につかんだものを口に入れて「なめる」ことで、形や感触を確かめます。

7か月〜9か月頃(おすわり・はいはい期) 【叩く・振る実験】

両手が自由に使えるようになります。おもちゃ同士をカチカチ合わせたり、床を「叩く」、物を「振る」などして、音や感触の変化を楽しみます。

10か月〜1歳頃(つかまり立ち・伝い歩き期) 【投げる・落とす実験】

手指が発達し、握ったものを意図的に離せるようになります。「投げたらどうなる?」「落としたらどんな音がする?」という因果関係を学ぶ実験が始まります

赤ちゃんが”いいこと・悪いこと”を学ぶ前にまず大切な「環境設定」

0~1歳の時期に行う、身近な世界を知っていく過程=「探索行動(たんさくこうどう)」は、望ましい発達に必要不可欠なことだといわれています。「ダメ!」を教える前に私たちができる最も重要なことは、まず安心して探索できる環境を整えることです。

安全で安心できる「環境づくり」のポイント

環境が整うことで、赤ちゃんは安心して自分の欲求を探索行動で満たすことができます。十分で主体的な自己表現が、身体的・感情的な成長を促すことにつながっていきます。

赤ちゃんの安心・安全な環境づくり

  • 赤ちゃんが自由に動き回れる安全なスペースを確保する
    ベビーサークルやマットを活用し、転倒やぶつかりのリスクを減らす。家具の角には柔らかい素材のコーナーガードをつけると安心です。
  • 手が届く範囲に危険なものを置かない、または安全なものにする
    ライターや薬、洗剤や芳香剤、小さな部品や鋭利なものなどは手の届かない場所へ。また、キーホルダーのパーツなど口に含んでいるうちにはずれたり飲み込んでしまう恐れもあります。口に入れても安全なおもちゃや素材を選びましょう。
  • 親がそばで見守り、スキンシップや優しい声かけで安心感を与える
    「そうだね、触ってみたいよね」と共感し、安心して探索できる雰囲気を作りましょう。注意ばかりしたくなるときは、赤ちゃんのせいではなく大人側の準備不足かもしれません。環境を今一度見直してみましょう。
  • 危険な場面では、事前に抱っこするなど視点や気持ちを切り替える
    危険があるときは、抱っこして環境から離すだけでなく、「ここは触れないよ」と短く説明し、状況理解の練習にもつなげます。

赤ちゃんが「いいこと・悪いこと」を学ぶ意義

とはいえ、「赤ちゃんだから何でもOK!」「仕方ないよね…」という関わり方だけでは、社会性の芽は育ちにくくなります。大切なのは、赤ちゃんが安心できる大人に守られながら

  • これは心地いい
  • これは嫌だ
  • これはダメなんだ

といった感覚を少しずつ経験していくことです。

その積み重ねが、「いいこと・悪いこと」を知って学び、その後の道徳的理解にもつながっていきます。

🍼赤ちゃんが「いい・悪い」を学ぶステップとポイント

では、赤ちゃんの発達を知った上で「いい・悪い」をどんなふうに知らせたらいいのでしょうか?

結論、本格的なスタートはハイハイ期から です。

しかし、その基盤づくりは 0歳の新生児期の関わりから始まります。
「快・不快」の経験を積み重ねたり、安心や心地良さをベースとして伝えていくことが大切です。

次に、それぞれの月齢での発達段階と、「いい・悪い」を学んでいくために必要な関わり方のポイントを見ていきましょう。

① 新生児期〜首すわり前(0〜3か月頃)

  • 世界を「快・不快」で感じています。
    (お腹がすいた⇨泣く、抱っこで安心⇨泣きやむ)
  • この時期は「善悪」ではなく、安心感の土台を築くことが最優先です。

➡️優しい声や笑顔で応じることが、「心地よい=安心できる経験」の積み重ねになります。

② 首がすわる、寝返り〜おすわり期(4〜6か月頃)

  • 自分の体を動かせるようになり、「やってみたい」欲求が芽生えます。
  • まだ「いい・悪い」は理解できませんが、
     親が「痛いよ」「やさしくね」と感情をこめて伝えることで、行為に伴う感覚や雰囲気を少しずつ感じ取っていきます。

➡️「赤ちゃんの安心・安全な環境づくり」を参考に環境準備を本格的に進めましょう。

③ ハイハイ〜つかまり立ち期(7〜10か月頃)

  • 自分で移動し、興味を持ったモノを手に取るようになる時期です。
  • ここから「していいこと・してほしくないこと」をシンプルに繰り返し知らせることが有効になります。
     例:「さわらないよ」「熱いよ」「いたいね」➝「これならさわっていいよ」「ここを持つよ」

➡️言葉は理解できなくても、声色・表情・場面の一貫性から「これはダメなんだ」と学び始めます。

④ 1歳前後〜(歩き始める頃)

  • 「自分でやりたい」気持ちが強くなり、ルールや制止を少しずつ理解し始めます。

➡️「いい・悪い」だけでなく、「安全かどうか」や「人にとって心地よいかどうか」を伝えることもポイントです。
 
(例1)「叩くと痛いよ」⇨悲しい顔で「しないよ」してほしくないこと伝える
(例2 )「なでなで優しくね」⇨笑顔で「気持ちいいね」心地よさを知らせる

赤ちゃんが「いいこと・悪いこと」を学ぶ具体的な関わり方

どんなタイミングでどんな声かけで子どもに接していくことが望ましいのか?ここでは、私が保育士として実践している関わり方含め、ポイントをおさえ家庭でも実践できる具体的な関わり方を紹介します。

1.まずは安全な環境を整えよう

危険な行為を「ダメ!」と繰り返し叱るより、事前に片付け、安心して探索できる場を用意することが第一歩です。
 例) リモコンやコンセントに触れたがる → 移動させる、カバーをつける。

2 感情的に怒鳴らず、穏やかに「表情」もあわせて知らせましょう

怒鳴り声は、赤ちゃんに「怖い」だけを伝え、学びにはつながりません。落ち着いた声で「これは危ないよ」「ダメ」と伝えましょう。その時に、悲しげな表情で首を横に振りながら伝えると、赤ちゃんは「これはやってはいけないことなんだ」と感情と行動を関連づけて学んでいきます。
 例) 食事中に食べ物を投げた → 「ごはんはポイしないよ、ここに置こうね」と落ち着いて伝える。

3. 比較や否定をしないようにしましょう

「◯◯ちゃんはできるのに」という言葉は、赤ちゃんには理解できず、親自身を追い詰めてしまうだけです。その子なりのペースを大切にしましょう。

4. 無理に「ごめんね」を言わせず大人がお手本を見せましょう


謝罪の意味はまだ理解できません。代わりに「ママ痛いよ、なでなでしてね」と行動で気持ちをつなげるのが効果的です。
 例) ママの髪を引っ張った → 「ママ痛いよ、なでなでしてね」と伝え、手を添え優しく一緒になでる。

5. 親が気持ちを代弁しましょう

「おもちゃ取られてイヤだったね」「たたかれると痛いんだよ」と、簡単な言葉で代弁することで、感情理解につながります。
 例) お友だちをたたいた → 「お友だちびっくりしたね。バンバンじゃなくて、なでなでしようね」と伝える➝手を添えて一緒に「なでなで」する(力の加減を感じる)→「そう!上手にできたね!」

6.親と一緒に正しい方法をやってみましょう

「こうすればいいんだ」と理解し、繰り返す中で少しづつ理解していきます。
困った行動が続く場合は、環境の見直しや安全なおもちゃなど代替案を優先しましょう。
例) 繰り返しおもちゃを投げている➝ 表情から「投げるの楽しいんだね」(音が出ることも楽しんでいそう)➝ 鈴が入った柔らかいボールを目の前に転がし大人が投げて遊ぶ姿を見せる「楽しい!」➝「やってみる?」手渡し➝好きな方向に投げる➝ 受け止めて返すを一緒に繰り返し遊ぶ
(※大人が楽しそうに声をあげたり笑って一緒に遊ぶと、”この遊び(この遊び方)は楽しい!”と学んでいくことができます。)

7.一緒にやってできたことを、ほめましょう

行動が変わった瞬間を大切にし、しっかり褒めることで学びが定着します。
例)5の流れに記載

🌱 この時期の関わりで育まれる力

基本的信頼感:大人に守られている安心感から、人や社会への信頼の土台がつくられます。

感覚・感情の基盤:快・不快、心地よい・嫌だ、などのシンプルな感覚を積み重ねることで、自分の感情への気づきや、相手の感情への興味など「共感」の土台がつくられます。

探索する力:安全な環境で触る・なめる・動くを繰り返すことで、主体的に学ぶ姿勢が育ちます。

安心して気持ちを表現する力:泣く・笑う・触れるなど、自分の欲求を出しても受け止めてもらえる体験が、自分の気持ちを出していいという安心感や、次の挑戦への意欲につながります。

親の心が楽になる考え方

赤ちゃんの「叩く」「投げる」は発達の一部であり、身の回りの環境を「自分の思いとチカラで確かめ感じる」確認作業です。

時に大人にとって、「困った行動の繰り返しをしている子」も、見方を変えれば「主体性を持って環境に関わる、感性の豊かな積極的な子」とみることもできます。

実際、私が関わったお子さんの中でも「遊びだしたら、やめれなくて…」「言っても、全然聞いてくれない!」と悩みを抱えていた親御さんの思いをよそに、彼は後にラグビーで才能を開花し、有名企業に就職。社会人ラグビー選手として何年も活躍したと聞きました。

大人にとって好ましくない行為=「悪い子」でも「親の育て方のせい」でもありません。

大切なのは、赤ちゃんの行動の意味を正しく理解し、関わり方を工夫すること
「今は学んでいる時期なんだな」「今こんなことに興味があるんだな」と受け止めると、気持ちがぐっと楽になります。

MIMAポイント!

赤ちゃん時代の探索行動に「困ったな…」「なんでこんなに繰り返すの…」と悩むママに聞いてほしい話があります。

先日、同じ思春期のお子さんを持つママ友同士で話しをしたとき、赤ちゃん時代の思い出が話題になりました。

・何でも口に入れて困った!
・とにかく、何をしても泣き止まなかった!
・すぐに走り出してしまって、どこまでも走っていくから大変だった!
・どんなおもちゃも投げガラスが割れ、怒られたのに、もう一度やっていた!

今となっては笑い話でも、その当時は本当に大変だったと思います。

でも、気づいたのは、このように様々な経験をしているお子さんの今を見てみると、好きなことにまっすぐ打ち込んだ野球でチームのキャプテンになっていたり、どんな試合でもあきらめず周りに大きな声をかけられるホームランバッターになっていたり、1年生からレギュラーで学業でも優れたお子さんになっていたり。

その子その子が、興味があることに真っすぐ向き合い、積極的に取り組む力を持ったお子さんに成長していることがわかりました。

赤ちゃんの探索行動は、自分から主体的に「外の世界に関わりたい!」という積極性や、「これって何だろう!」という探求心、「そうなんだ!もう一度確かめよう!」という好奇心など、《これから生きていくうえで大切な力》を育む第一歩です。

お子さんの困った行動の裏にある、これらの力をぜひ覚えておいて欲しいなと思います。

まとめ:安心できる関わりを重ねましょう

0〜1歳の赤ちゃんは、最初は「いいこと・悪いこと」を理解していません。

しかし、親が短くシンプルに伝える代わりの行動を示す繰り返し関わることで、少しずつ相手の気持ちや「いいこと・悪いこと」に気づく力が育ちます。

親にできるのは「叱る」だけではなく、望ましい関わり方安心できる関わりを一緒に積み重ねること。その積み重ねが、やがて「思いやりの心」や「謝る力」にとつながっていきます。

赤ちゃんが見ている景色や興味を大切にしながら、
共に感じ、学ぶ姿に喜びを持ちつつ…
ゆっくり一緒に成長していきましょう。

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    保育士 MIMA

    大学で福祉全般を学び、児童指導員や保育士歴18年目、3児の母。 学生時代からキャンプの運営やグループワークを実践し、ボランティア活動では、障害のある方や少年院で生活する子どもたちなど、大人から子どもまで幅広い人たちと交流。失敗を重ねながらも『一人ひとりが輝くために大切なこと』を学び、実践。”ベテラン風新人”をコンセプトに、学ぶ姿勢を持ち続けたい!と、現在も保育園保育士として子どもたちに向き合い続けています。