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赤ちゃん

【赤ちゃんの眠り:新生児編】“寝ない”理由は脳にあった~睡眠を整える3つのヒント~

2025年6月30日

🍼赤ちゃんが寝ない!のは、昼夜の区別と脳の発達が原因です


新生児期(生後0〜1ヶ月)の赤ちゃんに
「どうして寝てくれないの?」
「何が足りないの?」
と悩んだり、毎日心が折れそうになる瞬間がありますよね。


それは、赤ちゃんが安心できていないからでも
お母さんのやり方が間違っているからでもありません。


この時期の赤ちゃんは、まだ「眠る力」そのものが育ち始めたばかり。
お母さんのおなかから、外の世界に出たばかりで昼夜の違いが分からないことと
また、“脳と感覚”が急速に発達しているからこその理由だったのです。

この記事では

・新生児期に”寝ない”のはなぜか?【発達の視点から解説】
・今日からできる「眠りを育てる」ための 【具体的な関わり方】
を、保育士の実践的アドバイスを交えながら、わかりやすく解説します。

🧠新生児の睡眠~体内時計のスタートライン~

🔸1日の睡眠時間は 約16〜20時間です

でも、1〜3時間おきに目を覚ますのが普通です。
昼夜
の区別はまだありません。

🔸睡眠の質はとても浅いです

新生児の睡眠の50%~60%が「レム睡眠(浅い眠り)」と言われています。
これは大人の2倍以上あります。

【レム睡眠】が赤ちゃんに与えるもの

じつは、赤ちゃんには、この浅い眠り(レム睡眠)が脳と神経の発達に欠かせない時間であることが分かってきました。(※1)

レム睡眠中に行われていること

・記憶や感覚の整理
・統合(感覚統合のトレーニング)
・神経回路の形成・強化・自律神経の調整と成長
・感覚刺激(光・音・触覚など)への反応処理

新生児「どうしてすぐ起きてしまうの?」その背景~

① 体内時計がスタート!まだ練習中です

胎内から出てきたばかりの赤ちゃんは「昼と夜の違い」がまだわかっていません。
体内時計は、毎日の昼と夜を繰り返していく中で、生後6〜10週以降から少しずつ形づくられていきます。

② 感覚の世界に圧倒されている

光や音、温度、におい…外の世界は新生児にとって強烈な刺激になります。
胎内の刺激が少ない環境から外の世界に出てきて、慣れていないため
不快・不安で泣けることが多くなります。

🌿睡眠の整え方:3つのヒント(新生児ver.)

✅ 1. 昼と夜の“ちがい”を体験させよう

新生児は体内時計(概日リズム)がまだ整っていません。
この時期は、昼夜の違いを「目で見る」「肌で感じる」といった経験の積み重ねが、リズム形成の土台になります(※2)。

☀️「7時〜9時までにカーテンを開け、日光を浴びさせる」ことで、体内時計のスタートスイッチを入れる効果も。
🌛「落ち着いた時間」として過ごすことで、少しずつ体が“夜の空気”を感じとりはじめます。テレビやスマホの光・音を抑えたり、夜間の授乳やおむつ替えの時も最小限の光に。

MIMAポイント!
こここでいう昼夜の”ちがい”は、体験したからといってすぐに伝わるものではありません。
また、この時期に3時間以上続けて眠るのは、むしろ稀です。夜中に何度も起きるのが普通であり、「寝かせなきゃ」と無理に思わなくても大丈夫!
「夜ぐっすり寝てくれるようになるのはもう少し先」と知って、赤ちゃんが寝ないことを自分のせいかも…と責めないでくださいね。

✅ 2. 繰り返しの安心をつくろう

夜の寝かしつけ前に、同じ音楽、同じ言葉、同じ手の動きなど毎日同じような流れがあると、赤ちゃんの脳が「次は眠る時間だ」と少しずつ覚えていきます(※3)。決まったパターンが続くことで、赤ちゃんに「安心感」をとどけます。

【例】お風呂➡️授乳➡️音楽や子守歌➡️「おやすみ」と声かけ➡️抱っこ ➡️そっと布団へ など
毎日決まった流れで眠りに誘いましょう。

✅ 3. 赤ちゃんと一緒に“休みましょう”

赤ちゃんのペースに合わせて、昼間に一緒に横になる時間を確保しましょう。
なぜなら、赤ちゃんの「安心を育てる育児」とは、”一緒に休む”ことだからです。

MIMAポイント!
この時期に大切なのは、赤ちゃんのペースに合わせる伴走者がそばにいることです。
家事が気になったり、いろいろ考えたりで、寝たくても寝られない!そんな時が多いと思います。

できる限り赤ちゃんといっしょに休むことは=「赤ちゃんのペースに寄り添う育児を実践している」ということです。

【わたしの赤ちゃん育児の後悔】
「赤ちゃんが生まれた!よし何でも全力、必死にがんばろう!!」そう気合を入れたものの、家事などやり切れないこと、うまく両立できないこと、育児にイライラ…。そんなにいろいろがんばらなくてもよかったな…と今になって思います。ちょっとした家事を後回しにしたり、ネットスーパーを活用したり、時に総菜を購入し時間をつくるなど、家事より何より「この時期に一番大切な赤ちゃんとの時間をゆったり過ごす」ため、そのゆとりを生むためにできることを最大限利用したらよかったな~と思ったのでした。

🌼あなたは「眠りを育てるパートナー」

あなたが毎日、眠い目をこすりながら、泣き止まない赤ちゃんを抱っこしているその時間は──
赤ちゃんにとって、「安心」と「信頼」を少しずつ積み重ねている貴重な時間です。

赤ちゃんの睡眠は、今日・明日ですぐに整うものではありません。
けれど、“寝ない”ことにも理由があり、赤ちゃんに寄り添えた分、そこには確かな「成長のあしあと」がのこります。

新生児期の子育て、毎日ホントにおつかれさまです。
かわいい赤ちゃんも、がんばり屋のあなたも、眠れる日々に向かって確かに歩んでいっています。
焦らず、ゆっくり子どもの眠りを育てていきましょう。


📖出典
※1 デ・グルート, E.R. 他(2024)
出生前および出生後の脳の発達を促進する睡眠
Pediatric Research, Nature Publishing Group
※2 リブキーズ, S.A.(2003)
乳児における概日リズムの発達
Hormone Research(ホルモン研究誌)第59巻・補足1号, pp.24–27
※3 バーバラ.H、キャロリー.Sら,(2021)
生後2年間の就寝時間、就寝前の習慣、そして子供の睡眠
NIH:米国立衛生研究所

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    保育士 MIMA

    大学で福祉全般を学び、児童指導員や保育士歴18年目、3児の母。 学生時代からキャンプの運営やグループワークを実践し、ボランティア活動では、障害のある方や少年院で生活する子どもたちなど、大人から子どもまで幅広い人たちと交流。失敗を重ねながらも『一人ひとりが輝くために大切なこと』を学び、実践。”ベテラン風新人”をコンセプトに、学ぶ姿勢を持ち続けたい!と、現在も保育園保育士として子どもたちに向き合い続けています。