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【赤ちゃんの眠り:5〜6ヶ月編】「そろそろ夜まとまって寝てくれる? 」”睡眠の安定”と”眠る力”を育てるポイント

5~6ヶ月の赤ちゃんが眠ろうとしています

赤ちゃんの成長の兆しとともに
「夜中に少し長く寝られるようになった?」と感じる一方、
「あれ、今日はすぐおきちゃった!どうしたんだろう?」
って、不安になることありませんか?

実はこの睡眠の波こそ、赤ちゃんがしっかり成長してきている証拠なんです!

5~6ヶ月頃から「まとまって寝るようになるポイント」は、「睡眠周期の成熟」を知ることと、起きても自分でまた寝ようとする「自己再入眠力」を育てていくことなのです。

この記事では

  • 生後5〜6か月ごろの赤ちゃんの睡眠リズムの発達
  • 研究からわかった「何度も起きる赤ちゃん」の秘密
  • 睡眠を整え、しっかり眠れるためのポイント

    を、保育士が発達心理の視点や様々な研究からまとめたポイントを分かりやすく解説します。

この記事は、【赤ちゃんの眠りシリーズ】の生後5~6ヶ月編です。

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💤 5〜6ヶ月頃の平均睡眠時間と生活リズムの目安

新生児期の赤ちゃんは、約50分程度の短い周期で「レム睡眠とノンレム睡眠(浅い・深い)」を交互に繰り返しています。このサイクルは発達とともに少しずつ長くなり、個人差はありますが、生後6か月〜12か月頃には約60分、やがて成人と同じ90分位のサイクルへと近づいていきます。

以下は、さまざまな研究を調べ、おおよその時期の睡眠の特徴をまとめました(※1)。

月齢睡眠の特徴起きたときの反応
新生児〜1ヶ月ごろ2〜4時間の短い睡眠サイクル(約50分程度)で構成。レム睡眠の割合が非常に高い頻繁に覚醒し、ほとんど親の介入が必要
約2〜3ヶ月ごろ日中と夜間の区別がつき始めるが、まだ睡眠サイクルは短い(約50〜60分)覚醒はまだ多く、親による寝かしつけが主流。徐々に自己再入眠を開始
4〜6ヶ月ごろ夜間連続睡眠期間(LSP:Longest Sleep Period)が約6時間に延びることが多い自分で再び眠りにつく「自己再入眠型」の乳児が増加
6〜12ヶ月ごろ睡眠構造がより安定し、ノンレム睡眠とレム睡眠の分化が進む半数以上が夜中に静かに再入眠できるようになるが、個人差は大きい

夜中に起きるのはなぜ?発達による“睡眠サイクル”の変化

  • 夜にまとめて眠る赤ちゃんが増える
    夜に5時間位まとめて眠ることが増え始めます。
    実際、5〜6ヶ月で多くの赤ちゃんが「夜間5時間以上睡眠」の体験をしているという一方、夜中に目を覚ますことも多く、安定した睡眠がとれるまで時間がかかったという赤ちゃんもいて、個人差がとても大きい時期です。
  • トータル睡眠時間は減っていきます
    1日あたりの睡眠時間は依然12〜16時間が目安。
    夜のまとまった睡眠が増える一方で、昼間の昼寝は数回、合わせて2~4時間程度に落ち着いてきます。
  • 睡眠サイクル(睡眠周期)の成熟
    この時期、「睡眠周期」は大人の周期90分に近づくことで大幅に長くなります。
    一方で、夜中に3~4回覚醒しているともいわれていますが、
    自分で寝直す「自己再入眠」が増え、親が気づかない場合もあります。
    (※2)

是非知ってほしい!「何度も起きる赤ちゃん」の秘密


最近の研究で「赤ちゃんが夜中に起きる意味」について重要な指摘がありました。

「赤ちゃんが夜中に起きる意味」


・睡眠時間やその発達は個人差が非常に大きいという元来の主張に加えて、
睡眠時間の長さより覚醒の時間が重要だということです。 

さまざまな環境や遺伝的要因、文化的背景によっても変わってきますが、それぞれの月齢のおおよその睡眠時間は研究によって判明しています。一方、それが赤ちゃんにとって必要を満たしている十分な時間であるかどうか?の証明は、実はまだされていないそうです。

更にある研究では、睡眠時に赤ちゃんの酸素濃度が薄くなることが分かってきました。どうやら、赤ちゃんが夜に何度か覚醒する(起きる)ことで、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを減らしている役割がありそうだという話が出てきたのです(※2)。

MIMAポイント

赤ちゃんのお世話をするお母さんや家族にとって、「もっと長く眠って欲しい!」と願う気持ちはとてもよく分かります。しかし、起きたり寝たりを繰り返す全ての赤ちゃんは「みな、それぞれ自分にとって必要な睡眠リズムを刻んでいる最中」なのです。

赤ちゃんには、その子その子のリズムがあるってことですね。私たちは、そう分かっていてもつい悩んでしまうのも当然です。そんな時は、科学的・発達的視野を思い出してください。私たちがしんどい時、それは赤ちゃんも頑張って「自分のリズムを一生懸命探している」時なんですね。

💤 なぜ「睡眠サイクルが長くなる」と夜に眠る時間が延びるの?

「1回のサイクルで深い睡眠の割合が増える」からです。
深い睡眠(徐波睡眠)が増えると、脳や身体の回復が促進されるため、目が覚めにくくなり、より長く連続して眠れるようになります。これが、夜間の「まとまった眠り」につながる理由です。

また、赤ちゃんが「自己再入眠スキル」を身につけ始めるのもこの時期で、夜中に軽く目を覚ましても指をしゃぶったり顔をこすったりなどしながら、自然にまた眠りに戻れることが増えていきます(※1)。

5~6ヶ月の赤ちゃんが「何度も起きる」3つの理由

1️⃣自分から「再び眠りに入る力」を育てている最中だから

生後4〜6ヶ月の頃に、「睡眠サイクルが大人に近づく」ことで、レム(浅い眠り)とノンレム(深い眠り)のサイクルが成熟しはじめまることがわかりました。そのため、夜間に起きてしまっても、自分でまた眠りに入る力(自己再入眠)を育てているところです。そうやって、一度目覚めても再び眠りにつく練習が自然と促されます。
大人と同じように寝返りなど身体の動きが増えるのも、睡眠が成熟してきている証拠です。

1️⃣夜間に起きるのは「正常な発達プロセス」のため

この時期の赤ちゃんは、睡眠構造がまだ不安定です。
眠りが長くなってくるとはいえ、生後6ヶ月ごろ夜間に1〜3回起きるのもよくあることです。
「少し長く寝られるようになったかな…」という実感があれば、特に心配はいりません。
自分でまた眠りに入る力(自己再入眠)が出来つつある証拠といえるでしょう。

3️⃣分離不安」の芽生えの時期だから

5〜6ヶ月頃は、「人見知り」「親の不在に気づく」時期です。
「愛着形成」が本格的に始まり、自分の親と他人との区別ができるようになってきます。
離れる不安(分離不安)が現れやすいのが特徴です。
この頃の赤ちゃんは、夜中に目覚めたとき、親の姿が見えないことで不安を感じ、「泣いて呼ぶ」行動が増えるのも自然な発達の一環です。これは分離不安の初期兆候とも言われています(※3)。

🌟 保育士が教える「睡眠を整える4つのヒント」と「しっかり眠れる」環境づくり(5〜6ヶ月ver.)

1. 夜にまとめて睡眠できるよう、お昼寝をできる範囲でコントロールしましょう
日中のお昼寝は短めに。なるべく決まった時間帯にしましょう。特に夜の睡眠の前に長くお昼寝すると、夜間の起きることが増える原因になります。また、夜は体もこころも「寝る準備」に切り替えられるような環境(明るさ、音、遊びなど)を用意しましょう。

MIMAポイント!
「全く同じ時間にお昼寝をすることは無理!」
そうですよね。その日の赤ちゃんのスケジュールは、お出かけや、離乳食の進み方、体調や、お母さんの忙しさ、兄妹の世話など、毎日同じではありません。
ここで言いたいことは、生まれたばかりの頃は、赤ちゃん自身のリズムにこちらが合わせていきますが、5~6ヶ月ごろの時期は、赤ちゃんのリズムが整うように、「少しずつ調整していく時期」ということです。
きっちり決め込んだスケジュールに「頑張っても、うまくいかない…」と、お母さんがしんどくならないようにしましょうね。疲れて眠り過ぎてしまう日もありますし、お昼寝が進まない日もあるでしょう。そのような日もあってOK!と構え、できることから始めましょう。

2. 「寝る前のルーティーン」を決めよう
5〜6ヶ月ごろの赤ちゃんは「毎日のルーティン(決まった流れ)」が身体になじみやすく、「これをすると寝るんだな」という感覚が育ちやすい時期です。

例)
絵本を読む+優しく声をかける+やわらかな音楽+環境を暗くする+声かけを止める⇨「眠り」へ

睡眠への準備を「機械的に記憶させる」ことで、定着した睡眠のリズムを作るサポートになります。(※4)。

3. 「自己再入眠」をサポート
赤ちゃんは夜に、自然な睡眠サイクルの中で覚めることがあります。 この覚醒時に「すぐに抱っこしてもらえる」経験が続くと、自分では寝直す経験ができず、体力も睡眠の質も低下してしまう場合があります。

研究によれば、覚醒直後にすぐに親が介入せず、数分間しずかに見守っているだけで、自分で再び眠りについていく「自己再入眠の力」が高まります(※4)。

親がすぐに介入せずに静かに見守る時間をもち、「あなたなら眠れるよ」と信じて待つ姿勢は、赤ちゃんに安心感と自信を与えます。特に 4ヶ月以降は、眠気がある状態で寝かせる(drowsy but awake)、夜間の泣きにはいきなり抱っこせずに少し待つことが、自力で寝直す力を支えるとされています。こうした親のかかわりが、睡眠の自立を後押しすると、米国小児科学会(AAP)も推奨しています(※5)。

4. 安心・安全な環境づくり

  • 部屋の温度はひえすぎず暖かすぎず、適温にしよう
    大人が軽装で快適に過ごせる温度(約20〜22 °C / 湿度50~60 %)が理想と言われています
  • 暗めの照明にし、「夜だよ」という準備をしましょう
    夜は照明を落とし、刺激を控えることで、睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌促進にもつながります。
  • 平らで安定した寝床を確保しよう
    安全基準に準拠した平らで硬めの寝台・寝具を使用することが基本です。柔らかすぎるマットレスや角度のある器具、ソファの上での寝かしつけ、揺れるチェアなどは、胸の動きや腹式呼吸の妨げになるため危険とされています。
  • やわらかいぬいぐるみや、もこもこした毛布などは、窒息につながるため避けよう
  • 大人との添い寝を避けよう
    毎日の疲れから、親が知らないうちに深い眠りに入り、意図せず赤ちゃんの呼吸をふさぐ恐れがあります。「同じ部屋だけど別の床(とこ)」で家族の安心と安全を保ちましょう。

おわりに:赤ちゃんの力を信じましょう

何もかもお母さんに頼りきりだった赤ちゃんも、
日々の暮らしの中で少しずつ「自分の力で眠る」ことを学んでいきます。

夜に泣いたり、
ぐずったり、
起きたり…
そんなひとつひとつの出来事が、
心と体の発達のサインであり、「自立」への大切な一歩です。

そして、赤ちゃんがその一歩を踏み出すには、
あなたの「見守る勇気」がとても大きな力になります。

完璧でなくてもいいんです。
うまくいかない日も、
最後に抱きしめてあげることで、赤ちゃんはちゃんと安心しています。

「あなたならきっとできるよ」
そう信じる気持ちが、赤ちゃんの中にも
「ぼくは大丈夫」
「わたしはできる」という感覚を育てていきます。

眠る力も、育つ力も、赤ちゃんはちゃんと持っています。
比べず、焦らず、休憩も入れながら…、いま目の前にいる赤ちゃんと、少しずつ心地よい生活リズムや睡眠を刻んでいきましょう。あなたのあたたかいまなざしが、今日も赤ちゃんの安心に、ちゃんとつながっていくことでしょう。

📖出典
※1 ベス・L・グッドリン・ジョーンズほか(2001)
生後1年目の夜間覚醒、睡眠覚醒の組織化、自己鎮静」NIH

 
※2 スリープヘルス(2023)
乳児の健康:睡眠と概日リズム
SleepHealth.org(米国睡眠医学会・睡眠研究学会)

🔗 https://www.sleephealth.org/infants

※3スタンフォード・チルドレンズ・ヘルス(Stanford Children’s Health)
乳児の睡眠

※4 メリッサ・M・バーナムら(2002)
生後1歳までの夜間睡眠覚醒パターンと自己鎮静:縦断的介入研究」NIH

※5 米国小児科学会(AAP)
赤ちゃんを寝かしつける』HealthyChildren.org

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    保育士 MIMA

    大学で福祉全般を学び、児童指導員や保育士歴18年目、3児の母。 学生時代からキャンプの運営やグループワークを実践し、ボランティア活動では、障害のある方や少年院で生活する子どもたちなど、大人から子どもまで幅広い人たちと交流。失敗を重ねながらも『一人ひとりが輝くために大切なこと』を学び、実践。”ベテラン風新人”をコンセプトに、学ぶ姿勢を持ち続けたい!と、現在も保育園保育士として子どもたちに向き合い続けています。