はじめに
「また泣いてる…」
「どうしてずっと泣いてるの?」
授乳やミルク、排せつのお世話など24時間休まらない中での赤ちゃんの泣き声に”つらい”と思ったり心が折れそうになったことはありませんか?
あなたの“つらさ”は、脳にとって「とても自然な反応」で「大切なはたらき」です
わたしの経験でもありました!
長男は、寝つきも悪く抱っこし続けても…
毎晩なかなか泣き止まないのです。
とにかく泣き声が強くって。
あの頃は、ホントにしんどかったなと。
そんな日が続いて、「私がダメなのかもしれない…」と思った日も。
赤ちゃんの泣き声が“つらく”感じる 4つの理由
1.人間の脳は“泣き声”に強く反応するようにできている
赤ちゃんの泣き声は、実は他の音よりも早く脳の「大脳皮質」に届くことが、オックスフォード大学やアールフス大学、UCLAなど大学での研究で分かってきました。
2. 赤ちゃんの泣き声は、大人の行動と脳の反応を活性化させる
また、NIH(アメリカ国立衛生研究所というアメリカの保健福祉省に属する大規模な医学研究機関)に属する機関NICHD(国立小児保健・人間発達研究所)が主導した11か国(アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、カメルーン、フランス、イスラエル、イタリア、日本、ケニア、韓国、アメリカ)の研究者が参加した共同研究では、
国や文化を超え、脳が活性化され反応行動につながること
それらは、脳の特定の領域と関連があること
つまり、どの国の人も赤ちゃんの泣き声を聞くと気持ちが反応し、「どうにかしてあげたい」と、行動したくなることが分かりました。
3.赤ちゃんの苦しみや不安に共感するからこそ、感情の疲労が起こる
赤ちゃんが泣くことで
その赤ちゃんの感情や不安に共感しようとします。
その感情が強くなっていくことで
「共感疲労(エンパシー・ファティーグ)」が、聞いた大人側の”つらさ”につながっているのです。
4.泣き声を聞くと「愛情ホルモン」が出るよう促される
また、研究が進むにつれ泣き声を聞くことで、「ストレスホルモン(コルチゾール)」の分泌が増え、それとほぼ同時に「愛情ホルモン(オキシトシン)」の分泌が促されることが分かり始めてきました。
泣くことの意味
・赤ちゃんが愛着関係がある人に対して行う行動の一つが泣くことです。
赤ちゃんにとって愛着対象(親)と安全な絆を形成しその安全基地として探索行動やストレスの緩和を行うことが「愛着理論(アタッチメント)」(byジョン・ボウルビィ)の一部として広く知られています。
・「何かが起きた!」と注意を促す“警報音”のような役割を果たしています。
つらい…
イライラする…
どうしよう…
そう感じる、心の奥には
実は「わが子を守りたい」という、あなたの愛情がちゃんとあるのです。
「つらい」と感じたあなたは、ちゃんと反応できている”りっぱな親”です
MIMAポイント!
・「つらいきもちになること=悪い親」ではないことを知りましょう。
・自分を責めなくて大丈夫。赤ちゃんだけでなくあなた自身にも、ケアする気持ちを向けましょう。
・赤ちゃんの泣き声は、言葉で伝えられないことを伝える手段です。「赤ちゃんからなにかメッセージかあるんだな」と、そのままをとらえましょう。
以下に、あなたができることを具体的にお伝えします。
泣き声がつらいときにできる 親のセルフケア 6選
①泣き声は“あなたを責める声”ではなく“赤ちゃんからのメッセージ”と とらえなおそう
赤ちゃんが何かを伝えようとしている「メッセージ」なんだなと、自分を責めることなく、まずはそのままの状態を受け止めるようにしましょう。
②赤ちゃんの状態や気持ちを声掛けしながら探しましょう
「おしっこでおむつが気持ち悪いの?」「眠いのかな?」「おなかが減った?」「はやくだっこして欲しかったのかな?」「疲れたのかな?」と、赤ちゃんにゆったり声掛けしながら確認していきます。赤ちゃんにとって一瞬で対応してくれることが、ありがたい時もありますが、自分のことをゆったり受け止めようとしている存在に、安心や信頼が増していくように感じます。
③いつもと違うと感じたときは体調を確認しよう
いつもと違う泣き方や、なんとなく違和感を感じたら、発熱や体調の変化がないかを確認しましょう。一瞬目が離れ(トイレや家事など)状況が分かりづらい時は、けがなども無いか?確認できれば安心です。
④それでも理由が分からない時は”そんな自分もOK!”と思おう
考えたけど、なんで?
分からない…
それでも大丈夫です!
赤ちゃんに優しく問いかけたり、抱っこしながら、焦らず「赤ちゃんが何かメッセージを発しているんだな」と、そのことだけを感じましょう。分からない自分を、責めなくてもいいのです。
赤ちゃんの泣きが長かったり、どうしても状況的ににつらいときは、”数分、赤ちゃんを安全な場所に置いて深呼吸”でもOKです。つらい気持ちのまま必死に泣き止ませようとするよりも、まずは“自分が落ち着く”ことを優先しましょう。
⑤だれかに話をしたり、頼れる人がいるなら迷わず頼ろう
赤ちゃんはいつだって、気持ちを全開で表現してくれる存在です。一方、私たちはそうはいかないですよね。
そんなときは、
身近な人や頼れる人に話をしましょう。
この頼れる人という言葉も、もしかしたらあなたを苦しめる単語かもしれません。あなたの親御さんが近くにいなかったり、旦那さんは仕事で帰りが遅いこともあるでしょう。
その時は、日記でもいいですし、独り言でもいいです。SNSやChatGPT(AI検索ツール)を通し聞いてもらったり、どこでもいいので気持ちを書き出したり、気持ちを出せる場を探しましょう。
MIMAポイント!
あなたは大きな「気持ちのバケツ」の持ち主です。
その「水=気持ち」をため込むと、急に水(気持ち)がドバっとあふれたり、時にバケツがひっくり返って水があふれ出てしまうことがあります。
あなたがあなた自身のバケツを時々眺め、水の量や質を感じることで自分の気持ちにも耳を傾け、普段から溜まっていくその水という気持ちを、程よく流していくことが大切です。
もし、赤ちゃんの泣き声に反応できなかったり、気持ちが向かなかたりする時、またそんな思いが続く時は、あなたの心が鳴らしている“警報音”かもしれません。以下の④を参考に、できることから行動してみましょう。
⑥困ったときは
ささいなことでも困ったときは、児童館や地域の相談窓口(発達センター)、電話相談(公営や民営)、また幼稚園や保育園で行っている施設開放(園庭開放)など、探してみるといろいろな場が用意されていますので、気軽に外に出たり相談したりしてリフレッシュしていきましょう。
最後に:泣き声が“つらい”のは、あなたが頑張っている証です!
”つらい”と思えるあなたは子どもに心を寄せようとしている「素敵な親」です
科学的にも、そのつらさは“正常な反応”でしたね。少しでも気持ちが楽になるよう、普段から「わたしって、がんばってる!」「こんなに抱っこしてあげて、わたしえらい!」って、自分自身に優しい言葉やほめる言葉をかけてあげましょう。
ちょっぴり先輩ママの私が今になって思うこと
・あんなにつらかった時間が愛おしく、もっと楽に考えたらよかったな!という思い
・赤ちゃんとの時間は一生続くものではなく、むしろ人生の中では短く、取り戻すことができない貴重な時間だった
ということです。
現在、わたしの子どもたちは私の腕で抱きかかえることができないくらい、3人とも大きくなりました。
あんなに泣いていた長男も、今は自分で学校の用意を済ませたり、簡単な料理をしたり、時にちょっぴり不満をつぶやく思春期です。
本人が望めば…
わたしは今でもぎゅっと抱きしめたいくらいですが、その思いは今となっては叶わないのです。彼の成長した姿が誇らしく嬉しいと同時に、あの頃に戻ってもっと抱きしめてあげたかったな!と、今でも時々そう思う瞬間があります。
赤ちゃんのお世話、毎日ホントにおつかれさまです!
みなさんの ”つらい瞬間” が少しでも軽くなって、「赤ちゃんと過ごせる、今という貴重な時間」が”輝く”ことを願っています。
もっと詳しく
🔗 赤ちゃんの泣き声が脳に与える影響(オックスフォード大学)
🔗 母親の脳の反応(NIH研究)
🔗 赤ちゃんの泣き声が脳に与える影響(アールフス大学)
🔗 NICHD(NIH傘下)による国際共同研究
・『ボウルビィ 母子関係入門』星和書店