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【赤ちゃんの眠り:10ヶ月〜1歳編】昼寝の切り替え・夜泣き復活はなぜ?“自己主張と分離不安”への寄り添い方

10ヶ月から1歳の赤ちゃんが安心して眠っている様子

「また夜泣きが始まった…」
「昼寝の時間、短すぎる?長すぎる?」
そんな“睡眠のゆらぎ”が再びやってきたと感じる時期です。

赤ちゃんが生後10ヶ月から1歳(=12か月)を迎えるころ、
睡眠のリズムや寝つき方に、また新たな変化が現れてきます。

でもそれは、赤ちゃんの「自分」という存在がしっかり育ち始めた証拠なのです。

この記事では

・10ヶ月~1歳(12ヶ月)ごろの赤ちゃんにみられる【睡眠の変化】
・発達の視点から見る【夜泣きや、寝ぐずりの背景】
・親ができる眠りを整える【具体的な関わり方とサポート方法】
保育士の実践的アドバイスを交えながら、わかりやすく解説します。

🧠発達の視点で読み解く:10〜12ヶ月の眠りの特徴4つ

1️⃣1日の睡眠時間は およそ13〜15時間前後
個人差がぐっと広がる時期です。

2️⃣昼寝は 1日2回 → 徐々に1回へ移行する子も
午前・午後の2回が基本ですが、「夕方に眠れない」「夜の寝つきが悪い」などが出てきたら、昼寝を1回にし始めるタイミングかもしれません。

3️⃣“夜泣き”や“寝ぐずり”が再発するケースも
歯の生え始め・発語の芽生え・立つ・歩く準備など、脳と体が急成長するこの時期には「12ヶ月の睡眠退行(Sleep Regression)」が起こることもあります(※1)。

4️⃣分離不安がピークに
「ママがいない!」と泣いてしまう、夜中に突然起きて大泣きする…これは「親と自分は別の存在」ということが分かってきたからこそ起こります(※2)。この現象は、成長の証であり、愛着形成が進んでいるサインです。

🌿睡眠を整える3つのポイント:10〜12ヶ月の赤ちゃん編

✅1. 昼寝のリズムを再チェック

この時期の赤ちゃんは、個人差もありますが、元気にハイハイやつかまり立ちに挑戦したり、つたい歩きを始めたり、周りの物に興味を持って自分から近づいていったりと、昼間の活動量がぐっと増えるのが特徴です。その活動量が、夜の眠りに大きく影響する時期でもあります。

  • 「午前・午後の2回の昼寝+夜の睡眠」がうまくいかない場合は
    「午前+午後を15分短めに」など、時間配分から見直してみましょう。
  • 1回に切り替える場合も、「眠そう」「不機嫌」「おでかけして疲れ気味」など、状況によって無理に減らさなくてもOKです。

MIMAポイント!
私が家の長男は、11ヶ月頃に自然と昼寝1回になりました。でも、それから夜にぐっすり眠れるようになったかというと…そうでもなかったなと思います(笑)その日に、お買い物に連れて行ったり、おばあちゃんの家に行った日、またどこにも出かけなかった日など、その日の活動量がどれくらいだったかで、お昼寝からすぐ起きたり、お昼寝が長引いて夜にすぐ寝付けなかったり…といった感じでした。

「毎日〇時~〇時までは、お昼寝」と決め切らずに、
“今のリズムが合ってるかな?””今日は疲れているから、少し長めでもOK!”など、
お母さんのお世話が大変ではない範囲で、子どもの様子から生活を見ていくことが大切です。

✅2. “おやすみ前の流れ”に「会話」と「安心」を

つかまり立ちを始めたり、「まんま」「ブーブー」などの発語が出てきたり、
赤ちゃんが少しずつ「自分でやってみたい!」という気持ちや、
「伝えたい!」という思いを持ちはじめるこの時期には、
毎晩のルーティンの中に「気持ちを落ち着ける安心の時間」を意識して取り入れることがとても大切です。

赤ちゃんは、日々できることが増えていく中で、楽しい反面、
気持ちが興奮しやすかったり、不安を感じたりする場面も増えてきます。

寝る前のひとときを”毎日決まった流れ”で過ごし、
その中に“やさしく語りかける時間”や“お気に入りの絵本を一緒に読む”といった
こころの落ち着きを育てる声掛けや関わり」を加えることで、
赤ちゃんは「安心して眠っていいんだ」と感じられるようになります。

🔹おすすめルーティン例🔹

お風呂➡️授乳または軽食➡️お気に入りの絵本を読む➡️おやすみ」の声かけ➡️ぬいぐるみにも「おやすみ➡️「ねんねだから、電気を消すね」と穏やかに伝え、部屋を消灯

※寝室に入る前に「もう寝る時間だから、一緒に絵本読もうね」と事前に予告することで、赤ちゃんも切り替えの準備ができます。

MIMAポイント!

【お風呂の時間は夜でも日中でもOK!】
夜のお風呂が、気持ちの切り替えや心のリセットに効いたり、体温を入浴によって上昇させ、入浴後の体温低下が眠気を促進するため、就寝90分前に入浴すると寝つきが良くなるとされています(※3)。
ただし、夜でも日中でも、肌の清潔が保たれればどちらでも問題ないとされています。ですから、夜の入浴が重要なのではなく、夜に入浴なしでも「同じ順番で、同じ流れ」の就寝ルーチンが整っていることがポイントです。

【寝かしつけ前の絵本は同じでOK!】
毎日同じ本でも構いません。(むしろ、定番の方が赤ちゃんの頃はより効果的です)

【夜はささやくように語り掛けよう!】
昼間の元気な声とは違って、夜に絵本を読み聞かせる時などは、赤ちゃんが落ち着いていけるよう、ささやくような声で語りかけてました。その後、「今日は、○○ちゃんと~に行って楽しかったね。また明日、~して遊ぼうね、おやすみなさい…」と今日のできごとを話してから眠るようにすると、寝ぐずりが減ってきたのです。
“言葉で安心させる”って、思っていたよりずっと大事なんだな、と実感した出来事でした。

✅3. 夜中に起きたら、“すぐに抱っこ”より“そっと声かけ”

分離不安のあるこの時期、夜中の覚醒は、「お母さんがそばにいない不安」が原因の場合も。

赤ちゃんが“自分で再入眠する力”を育てるために
夜中に毎回抱っこ”が続くと…「起きたら抱っこ」が習慣になってしまうことも。
まずは少し“見守る対応”を意識してみましょう(※4)。

🔹赤ちゃんが夜中に起きたらこうしてみよう🔹

1.《泣きそうな声の段階で》すぐに抱き上げず、やさしくトントンしてお母さんの存在を知らせる。
2.《それでも泣きそうな時は》トントンしながら「ここにいるよ」「大丈夫だよ」と優しく穏やかに声かけ。お母さんが、そばにいることを知らせる。
3.《本格的な泣きになったら》抱っこして、同じようにゆったり対応。落ち着いてから再び寝かせます。

MIMAポイント!

【分離不安についてもっと詳しく】
分離不安とは、発達心理学者ジョン・ボウルビーによって提唱された「愛着理論」の中で、
赤ちゃんが特定の人(おもに母親など)と深い絆を築きはじめる時期に起きる自然な反応であると説明されています(※5)。この時期の赤ちゃんは、「ママ(パパ)がいない=もう戻ってこないかも」という不安をまだ処理できず、ほんの少し離れただけでも泣いたり、強くしがみついたりすることがあります。
これは愛情が育ってきている証拠とも言える、健やかな発達の一部なのです。

【分離不安が落ち着いていく方法】
アメリカ小児科学会(AAP)は、「分離不安は多くの赤ちゃんに見られ、安心できる別れと再会の経験を繰り返すことで、徐々に落ち着いていく」と解説しています(※6)。
焦らず、赤ちゃんの気持ちに寄り添いながら、
“行ってくるね → ちゃんと戻るよ”という体験を少しずつ経験していくことで、
安心感が積み重なり、赤ちゃんの「ひとりで眠る力」につながっていきます。

🌼赤ちゃんの眠りは“親子がゆっくり育つ時間”です

10〜12ヶ月の赤ちゃんの睡眠は、単なる「生活習慣」ではなく、
心の発達や、親子の信頼関係を育てる大切な時間です。

夜泣きや寝ぐずりが続くと、
不安になったり、ついイライラしてしまうこともあるかもしれません。
でも、それは「困ったこと」ではなく、
赤ちゃんが、ぐんと成長している証拠なのです。

そして、毎日の関わりの積み重ねが
赤ちゃんの中に“安心の土台”を少しずつ育ててくれます。

正解を求めすぎず、
「今日はどうだったかな?」
「うまくいかなかったのけど、それも成長の途中」
「昨日よりちょっとだけ、ラクだったかも」

そんなふうに、日々の”小さな気づき”を大切にしながら、
親子で“眠りのリズム”を整えていけたらいいですね。

がんばりすぎず、ひとつずつ。
赤ちゃんの成長とともに、一緒にゆっくり進んでいきましょう。

📖出典

※1 T.F.アンダース(1978)
生後2ヶ月および9ヶ月の乳児の自宅で記録された睡眠
NIH(米国立衛生研究所)

※2 アメリカ小児科学会(AAP)(2009)
感情と社会性の発達: 8~12ヶ月
HealthyChildren.org(ヘルシーチルドレン)

※3 ハーガイグ, シャハブ(2019)
より良い睡眠を得るために、就寝の90分前にお風呂に入りましょう
University of Texas at Austin(テキサス大学オースティン校)研究より、ScienceDaily掲載

※4 テイキング・カーラ・ベイビーズ(2025)
12か月睡眠退行
Taking Cara Babies(睡眠トレーニング専門サイト)

※5  ボウルビー, J.(1969)
『愛着と喪失 第1巻:愛着』Basic Books社(Attachment and Loss, Vol.1: Attachment)

※6 ウェンディ・スー・スワンソン(2025)
子どもの分離不安をやわらげる方法
American Academy of Pediatrics(アメリカ小児科学会)

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    保育士 MIMA

    大学で福祉全般を学び、児童指導員や保育士歴18年目、3児の母。 学生時代からキャンプの運営やグループワークを実践し、ボランティア活動では、障害のある方や少年院で生活する子どもたちなど、大人から子どもまで幅広い人たちと交流。失敗を重ねながらも『一人ひとりが輝くために大切なこと』を学び、実践。”ベテラン風新人”をコンセプトに、学ぶ姿勢を持ち続けたい!と、現在も保育園保育士として子どもたちに向き合い続けています。