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【赤ちゃんの眠り:7〜9ヶ月編】「夜泣き」や「寝ない」理由は睡眠退行と分離不安にあった|心の成長と対処法

7~9カ月の赤ちゃんが眠っています

「また寝ない…」それ、7〜9ヶ月の成長サインかもしれません

「前より寝るようになったと思ったのに…」
「夜泣きが急に始まった」
そんなお悩みが増えるのが、7〜9ヶ月の赤ちゃんの特徴の一つです。

でもそれは、赤ちゃんの心と体が大きく成長しているサインでもあるのです
この時期の睡眠には、赤ちゃんの発達特性と密接な関係があります。

この記事では

・7〜9ヶ月ごろの赤ちゃんの「睡眠の変化」【発達の視点から解説】
・親ができる「睡眠を整える」ポイント【具体的な関わり方】
を、保育士の実践的アドバイスを交えながら、わかりやすく解説します。

7〜9ヶ月の赤ちゃんの睡眠が変化する3つの理由

1️⃣概日リズム(昼夜の区別)がほぼ完成

生後半年をすぎる頃、赤ちゃんの体内時計が安定してきます。
これは「概日リズム(サーカディアンリズム)」と呼ばれ、昼間は活動的に、夜は眠るというサイクルが定着しはじめるからです(※1)。

夜間には、眠りを促すホルモン「メラトニン」の分泌も増え、寝る準備が体内でも整いやすくなります。ただし、ここで注意が必要なのが次のポイントです。

2️⃣発達の“敏感期”で、眠りが揺らぎやすくなる

この時期は、赤ちゃんの脳が爆発的に成長するタイミングです。

・ずりばい・ハイハイ・つかまり立ちなど、運動機能の発達
・物の認識や人見知りなど、記憶・感情の発達

「これらの発達は『敏感期』と呼ばれ、脳が特に刺激に反応しやすい時期です。そのため、睡眠にも影響が出やすいのです。

日中に新しい刺激をたくさん受けると、脳はそれを睡眠中に整理しようと働き続け、夜中にふと目を覚ましてしまうこともあるのです。

3️⃣“睡眠退行”と呼ばれる現象が起きやすい

「せっかく夜まとまって眠っていたのに、また起きるようになった…」
そう感じる方も多いと思います。

これは、生後8ヶ月前後に起こりやすい「睡眠退行」(※2)が関係している可能性があります。

睡眠退行とは

・発達が進んだことで脳が刺激に敏感になり、睡眠の質が一時的に不安定になること。
・数週間から1ヶ月ほど続くことが多いですが、ほとんどが一時的なものです。

睡眠退行が起こることも、成長している証拠といえますね。

「寝ない」「泣く」の背景にある“心”の成長とは?

分離不安が始まる時期

この頃の赤ちゃんは、「ママ(パパ)がいない=もう戻ってこない」と感じて不安になることがあります。
これは『対象恒常性』という脳の発達段階が関係しており、赤ちゃんが『分離不安』を感じやすくなることにつながっています。

👆眠りにつくときや、夜中に目覚めたときに「ママがいない…!」と泣くことがあるのは、このためです。

記憶力が発達し、「不快な記憶」が残る時期

脳の記憶に関わる部分が発達しはじめ、嫌だった記憶や感覚を残せるようになるのもこの時期の特徴です。
《たとえば》
・寝かしつけで強く泣いた記憶
・急に暗くなって不安だった体験

こういった体験が、「ねんね=嫌なこと」という認識につながることもあります。
そのため、できるだけ安心できる環境で寝かしつけることが大切になります。

MIMAポイント!
【安心できる環境って?】
赤ちゃんは、お母さんの声掛けをちゃんと聞いています。たとえば、寝かしつけで照明を消す時も、こちらのペースで急に照明を消した後に、毎回不安で泣く赤ちゃんを一生懸命あやしながら寝かしつけするよりも、「今から”ねんね”だから、電気消すね」など、穏やかな声で「安心をセットで伝える」と、その後の赤ちゃんの反応も違ってくるでしょう。このようなコミュニケーションの積み重ねが、赤ちゃんの安心感やそれに続く眠りを穏やかに誘うポイントです。

🌿睡眠を整える3つのポイント:7~9カ月の赤ちゃん編

1️⃣ 毎朝、同じ時間に起こして「体内時計」を整える

夜の睡眠を安定させるには、「朝」の過ごし方が重要です。

  • カーテンを開けて自然光を浴びる
  • なるべく同じ時間に起きる
  • 朝ごはんや授乳のタイミングもできるだけ一定に

体内時計が整うことで、夜の眠りのリズムも安定しやすくなります

2️⃣昼寝のタイミングを“赤ちゃんの様子”から見つけよう

”理想のスケジュール”は存在しません。
赤ちゃんによって眠たくなるタイミングも、昼寝の長さも違います。
「○時に寝かせなきゃ」と時間にこだわるよりも、赤ちゃんの眠たそうなサインを読み取る視点が大切です。

MIMAポイント!
【👆こんなサインは、眠気の合図
・目をこする
・表情がぼんやりしている
・急にぐずり出す
・声のトーンが強くなったり弱くなったりする変化する などです。

大人なら、「眠いから少しお昼寝しようかな」など、落ち着いて対処できます。しかし赤ちゃんはまだ、自分の眠気が起きたとき、その不快感をどうしたら分からず戸惑ったり、苦しさで一杯になってしまうのです。
そっと抱きしめ、「眠いんだよね…”ねんね”していいんだよ」と背中をトントンしながら、穏やかに声掛けしたり、寄り添ったりしていきましょう。
眠気がある➡️お母さんに安心をもらう➡️眠っていいんだと感じる➡️眠る
これらの流れを繰り返すことが、抵抗少なくスムーズに眠りに誘うきっかけになっていきます。 

3️⃣「夜泣き」がつらいときは、大人の睡眠も守って!

夜泣きは赤ちゃんのせいでも、親のせいでもないのです。
でも、つらい時期が続くと心がすり減ってしまいます。

頑張り過ぎからの息切れや、気持ちの沈み、病気へとつながらないように…
どんなときも、あなたの心と体も大切に考えていきましょう。

大人の睡眠と休息の確保のためにできること

昼間に15分でも目を閉じる時間を作りましょう!
スマホやSNSでも気分転換はできます。しかし、睡眠不足や疲れは、ネガティブ情報に心が向かいがちです。1日のどこかでは、意識してメディアや情報から離れ、目も心も体も休めましょう。体力と健全な心が保てるように、意識して休息をとりましょう。

パートナーや家族と「当番制」で夜の対応を考えましょう!
(【パートナーが気持ちよく協力してくれる方法】を近日掲載予定です。)

無理せず宅配や時短グッズに頼ることも考えましょう!
(おすすめグッズにて「おすすめの宅配弁当」を紹介できるよう情報収集中です。近日掲載予定なのでよかったら参考にしてくださいね。)

最後に:眠れない夜に伝えたいこと

毎日の子育て、本当にお疲れさまです。

7〜9ヶ月の赤ちゃんの睡眠が不安定になるのは、
体も心も、ぐんと育っているサインです

「寝ない」「泣く」という行動の奥には、
言葉にならない赤ちゃんの気持ちや成長のプロセスがあります。

うまく眠れない日があっても大丈夫。
その背景にある赤ちゃんの気持ちに目を向けて、
今できることから一緒に始めましょう。

そして何より!あなたの体と心が休める時間を、どうか大切にしてください。
あなたのゆとりこそが、赤ちゃんにとってのいちばんの安心につながっていくことでしょう。

📖参考文献

※1 リブキーズ, S.A.(2003)
乳児における概日リズムの発達
Hormone Research(ホルモン研究誌)第59巻・補足1号, pp.24–27

※2 TFアンダース「生後2ヶ月および9ヶ月の乳児の自宅で記録された睡眠」(1978)
NIH:米国立衛生研究所

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    保育士 MIMA

    大学で福祉全般を学び、児童指導員や保育士歴18年目、3児の母。 学生時代からキャンプの運営やグループワークを実践し、ボランティア活動では、障害のある方や少年院で生活する子どもたちなど、大人から子どもまで幅広い人たちと交流。失敗を重ねながらも『一人ひとりが輝くために大切なこと』を学び、実践。”ベテラン風新人”をコンセプトに、学ぶ姿勢を持ち続けたい!と、現在も保育園保育士として子どもたちに向き合い続けています。